ケンペのワーグナー「ローエングリン」

ワーグナーローエングリン
ケンペ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1962 1963)
ジェス・トーマス:ローエングリン
エリーザベト・グリュンマー:エルザ
クリスタ・ルートヴィヒ:オルトルート
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ:テルラムント
ゴットロープ・フリック:国王ハインリヒ

EMI ワーグナー オペラ・ボックスである。
以前、ケンペの「トリスタンとイゾルデ」を褒めたことがあったが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20110102/p1
期待が大きすぎたのか、あまり感動しない。盛り上がる部分はいいのだが、しっとり聴かせる部分のテンポが弛緩して、せっかくの美しいフレーズが死んでしまっている部分がけっこうある。やはり推進力が足りないのか。うーん、ケンペはライブに限るのかなあ。
歌手陣も、例えばクリュンマーは爆裂的に声が出る人なのだが、スタジオ録音のせいなのか、妙に抑え気味だし、ルートヴィヒは悪役としての「圧」が足りない。私の嫌いなフィッシャー=ディースカウについては言わずもがな。ジェス・トーマスは、やはり若干非力だな。

 

阿弖流為・母禮と「嫁いでみてわかった! 神社のひみつ」岡田桃子

「嫁いでみてわかった! 神社のひみつ」岡田桃子
ネットで書名を見て、なんとなく面白そうだとおもって購入した。
12年前に出版された「神社若奥日記」の増補改訂版とのことで、後書き的な「あれから十年、こんなことがありました」」という章をなんとなく見ていたら。
「伝 阿弖流為・母禮の塚」完成
という文が!
え?東北の神社だっけ?とみてみると大阪の片埜神社である。「伝」ということは阿弖流為・母禮が処刑されて首が埋められた場所という言い伝えがあるのだろう。
関西の人が、阿弖流為・母禮の事を気にかけてくれている、という事に感動してしまった。
調べたらこの神社は、スサノオ菅原道真を祀っているという!なんか、縁を感じるなあ。
死ぬまでに、一度は訪れてみたいものだ。
で、本文は週末ににゆっくり読むつもり。

ホルライザーのワーグナー「リエンツィ」

ワーグナー「リエンツィ」
ホルライザー指揮 シュターツカペレ・ドレスデン(1976)
ルネ・コロ:コーラ・リエンツィ
シヴ・ヴェンベルイ:イレーネ
ニコラウス・ヒルデブラント:ステファーノ・コロンナ
ジャニス・マーティン:アドリアーノ

EMI ワーグナー オペラ・ボックスである。
「リエンツィ」は、序曲は聴いたことはあっても、なかなか本編を聴く機会がないので、このBOXのおかげで聴くとこができる。実は、ワーグナー生前の、最も金銭的に成功した作品だ、ということは知らなかった。まあ、後年の作品はルートヴィヒ2世の庇護下にあったから、金銭的成功は眼中になかったろうな。
「リエンツィ」は正式タイトルが「リエンツィ、最後の護民官」であるが、ローマというから最初は古代ローマかと思った。しかしリエンツィは14世紀に実在したリエンツォの事だという。ならば現在のドイツにあたる「神聖ローマ帝国」か「東ローマ帝国」かと思いきや、それも違うという。では、ここでいう「ローマ」とは何か、というと当時イタリア半島の一部にあったローマ教皇領内の「ローマ市」とのこと。ずいぶんスケールが小さくなってしまったな。
あらすじは、超簡単に言うと、民衆の人気を得て護民官となったリエンツィが、今度は圧制を敷くようになって、民衆に殺される、という話(説明が簡単すぎ(笑))しかし、当時の革命を求める世相と相まっての大ヒットになったとのこと。
常に聴衆の興奮をあおるような曲作りは、マイアベーアあたりのグランド・オペラに近いなあ、と聴いていたら第2幕にバレエ・シーンがある。これは間違いなくグランド・オペラである。ワーグナーはパリの初演を希望していた、というのもやんぬるかな。
全体的に、かなり見事な作品で、変な話、これがワーグナーの作品でなかったら、もっと上演機会が多かったかもしれない。(グランド・オペラのファンはワーグナーだから聴かないだろうし、ワーグナーのファンはグランド・オペラだから聴かないという理屈)そういう意味では不運な作品と言えるか。
ホルライザーという指揮者は今回初めて聴くが、序曲冒頭の、心に染み入る音作りに一発でもっていかれてしまった。録音は多くないが「ばらの騎士」があるからいつかは聴いてみたたい。
歌手陣はルネ・コロをはじめ、間然するところがない。