ワーグナー「タンホイザー」のおさらい その2

ワーグナータンホイザー」(映像)
サー・コリン・デイヴィス指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(1978)
タンホイザー:スパス・ヴェンコフ
エリーザベト、ヴェーヌス:ギネス・ジョーンズ
ヴォルフラム:ベルント・ヴァイクル
領主ヘルマン:ハンス・ゾーティン
ヴァルター:ロベルト・シュンク
ビテロルフ:フランツ・マツーラ
ラインマル:ハインツ・フェルトホフ
ハインリヒ:ジョン・ピッカリング
羊飼い:テルツ少年合唱団員
演出:ゲッツ・フリードリッヒ
この映像については、過去にちらっと触れただけであるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101024/p1
先日、タンホイザーのおさらいをしたので、こちらも久々に見て(聴いて)みた。
歌手陣は、主役のヴェンコフ、ジョーンズをはじめ、ファンであるヴァイクル、ゾーティン、シュンク、マツーラと間然する所のない出来。
ヴェンコフは今回初めてその事を知ったのだが、実力に比して録音(映像)が無いというパターンの歌手とのこと。カルロス・クライバーとの「トリスタンとイゾルデ」の海賊盤(イゾルデはリゲンツァ!)があるが高値が付いていてとても手が出ない。いつか安くならんものか。また。この人で「指環」や「ローエングリン」の全曲盤が聴きたかったものである。
ソプラノのエリーザベトとメゾのヴェーヌスを女性の2面性ととらえる演出のため、両役を一人で演じているジョーンズであるが、これはメゾからソプラノへの転身の成功という経歴と美貌があったればこそで、たぶん彼女以外にはできまい。最初ヴェーヌス役で高音が耳障りで、これがソプラノになったらどうなるのだろうと思ったが、その心配は杞憂に終わった。声域と役柄によって、見事に歌い分けている証拠であった。
指揮のデイヴィスは、以前モーツァルトでは褒め、シベリウスではけなしたが、こちらは褒めるべき演奏。
映像としては古いのだけれど、映像の標準盤として推せる。DVD化は2008年。

ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞について

私は、とりたててボブ・ディランのファンというわけではないが、彼が及ぼした歴史的世界的影響については充分承知している。(洋楽遍歴は同時代のビートルズ・ファンから始まったからね(正確にいうと、その前にミッシェル・ポルナレフ))

今回色々な意見があると思うが、「詩」と「小説」の文学的価値というものが、西洋と日本ではは違う、ということは頭に入れておいてほしい。
西洋文学は「詩(叙事詩)」「戯曲」「小説」の順番で発生し、長らく文学的価値もこの順番であった。
以前、どこかで書いたが、西洋の「詩」は朗読することが前提であり、それは自然に「歌」につながる(吟遊詩人)
であるならは、フォークであろうとロックであろうと、その歌詞に文学的価値がある、と多くの人(西洋人だけかもしれないが)が認めるのであれば、それは充分にノーベル文学賞を受賞してしかるべき理由になるのである。

 

ケンペの ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

ワーグナーニュルンベルクのマイスタージンガー
ルドルフ・ケンペ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1956)
フェルディナント・フランツ:ザックス
ゴットロープ・フリック:ポークナー
ベンノ・クシェ:ベックメッサー
グスタフ・ナイトリンガー:コートナー
ルドルフ・ショック:ヴァルター
ゲルハルト・ウンガー:ダーヴィット
エリーザベト・グリュンマー:エヴァ
マルガ・ヘフゲン:マクダレーネ
ヘルマン・プライ:夜警

ルドルフ・ショックのワーグナーBOXである。
ケンペは個人的には今まで当たり外れがあったが、これは大当たり、スタジオ録音なのにライブのような躍動感である。モノラルだが生々しい録音と程よいエコーでモノラルであることが全く気にならない。
もともとはフルトヴェングラーのための企画が、1954年にフルトヴェングラーが亡くなったためにケンペにお鉢が回ってきたとのこと。歌手陣の顔ぶれをみると、なるほどなと思う。しかし、すぐにフルトヴェングラーの跡を継いでベルリン・フィルの常任指揮者となったカラヤンに任せず、また、カラヤンがその後マイスタージンガーを録音したのは、ベルリン・フィルではなくシュターツカペレ・ドレスデンというのも、何やら裏があるらしい・・・そういえば、ベルリン・フィル最初のベートーヴェンの第9はフリッチャイだったし・・・
歌手陣は間然することろがないが、以前クナの時に書いたようにフランツのザックスは個人的には重たすぎる。

ワーグナー「タンホイザー」のおさらい

先日「ローエングリン」のおさらいをしたのだが、EMI ワーグナー オペラ・ボックスの「タンホイザー」が既に持っているハイティンク盤なので、せっかくなので、過去に聴いたサヴァリッシュ指揮 ローマRAI交響楽団盤も含めで聴き直すことにした。


ハイティンク指揮 バイエルン放送交響楽団
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20110222/1298323294
サヴァリッシュ指揮 ローマRAI交響楽団
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20101125/p1

ハイティンク盤は、上記の時は褒めていたが、今回聴いたら、以前「魔笛」で指摘した
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2014/07/23/045742
「軟弱な演奏」の印象の方が前面に出てきてしまい、これも「歌手の無駄遣い」と思ってしまった。年を経ると、こんなに印象が違うものなのだ。

サヴァリッシュ盤はモノラルの発掘音源で、バイロイト盤の丁度10年後、落着きが見えてきたか、と思いきや、強弱や緩急の振り幅の大きい、かなり激烈な演奏で、これがステレオで音が良かったらバイロイト盤に並ぶ名盤になったかも。(主役級以外の歌手が若干弱いが、ドイツ・オペラのイタリア・ライブだからいたしかたのないところ)

上記で歌手陣をまったく記載していなかったのでこちらで記載する。
ワーグナータンホイザー
サヴァリッシュ指揮 ローマRAI交響楽団(1972 イタリア:ペルージャ

タンホイザー:ルネ・コロ
エリーザベト:グンドゥラ・ヤノヴィッツ
ヴォルフラム:ヴォルフガング・ブレンデル
ヴェーヌス:ミニョン・ダン
領主ヘルマン:マンフレート・シェンク
ワルター:カール・エルンスト・メルカー
ハインリヒ:マルティンフィンケ
ビーテロルフ:ジェフ・ヴェルメーシュ
ラインマル:マリオ・シアッピ
牧童:エルケ・シャーリー