ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」についての話(とホルライザー盤)

ブルックナー交響曲第4番は、たぶんブルックナー・ファン以外のクラシック・ファンにとっては、最もポピュラーなブルックナーの曲だと思う。(なので、この曲だけは録音しているという指揮者はごまんといる)
そして、ブルックナー・ファンからすると、ポピュラーであるがゆえに(ブルックナーの魅力はポピュラーさには無いんだぞ、といいたいのだろうが)8番、9番、7番、5番、人によっては3番よりは低く見ているのが普通(と、勝手な意見)
以前、ドボルザークの「新世界より」について
「ポピュラーなクラシックは逆に真摯に真摯に演奏しなければ下卑たものになってしまう」と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2004/07/19
この「ロマンティック」もポピュラーなるがゆえに、どの指揮者も何か余計な事を意識的にか無意識的にかやってしまう。そして、結果、ブルックナーならざる演奏になってしまう。
今まで書かなかったが、かのベームの「ロマンティック」を期待して買ったところ、あまりにも外面的効果を狙った演奏になっていてがっかりした事がある。
しかし、指揮者に同情するべき点もあって、ブルックナーの曲というのは、何か余計な事をしなければ不安になってしまう、という性質もあるのは確かである。つまり生のままのブルックナーを提示する事に不安を感じるのである。
そういう意味で、余計な事をする、とう誘惑に打ち勝って、生のままのブルックナーを提示したホルライザーの演奏は、非常に勇気がある貴重な演奏だと思う。(本当の事を言うと、スケルツォで若干のテンポ変化がある事はあるのだが、他の演奏に比べれば、余計な事の部類には入らないだろう)
そして、余計な事をしないブルックナーこそが最上である、といういい証明になると思う。

ホルライザー のブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」

ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」(ノヴァーク版)
ホルライザー指揮 バンベルク交響楽団(1959)
ホルライザーの「リエンツィ」が良かったので
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2016/09/13
他にもないかと調べたら、超廉価でブルックナーの4番があった。ロスバウトの7番と"Hubert Reichert"(ヒューバート・ライヘルト?フーベルト・ライヒャルト?)なる指揮者の6番とのカップリングである。
このCD自体に収録年の記載はないのだが、ネット情報だと 1959年と1960年の2説があり、とりあえず1959年としておく。
さらに、単独発売の解説を見るとステレオ録音とあるが、こちらはモノラルである(汗)安物買いで失敗したか?
さて演奏であるが、余計な外面的な効果を狙わない、大変素朴で真摯な演奏である。ブルックナーを演奏するために最も必要な事は「余計なことをしない」事である。そういう意味では大変理想的な演奏といえる。
以前、ブル4の個人的なベスト、という記事で「決定盤がない」と書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/20090415/p2
標準的な演奏、という意味で、この演奏をベストとして推してもいいかもしれない。
うーん。これはステレオ盤も聞きたくなってきたぞ。っていうか、このクオリティで、5、7、8、9番も録音してくれていたらなあ・・・・

娘がテレビに出る?

先日の娘の所属する応援団の某国営放送の取材であるが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/11/10/075534
どうやら本日18:10より放送されるようである。
(下記は今週の予定なので、来週になったら内容が変わります)
http://www.nhk.or.jp/aomori/program/b-det0000.html
青森の方で、ここを読んでいる方があったら、よろしかったらどうぞ。

ヴァルヴィーゾのワーグナー管弦楽曲集

ワーグナー管弦楽曲
ヴァルヴィーゾ指揮 シュターツカペレ・ドレスデンドレスデン州立管弦楽団)(1975)
シューマッハー指揮 ロンドン室内管弦楽団(1973)


ヴァルヴィーゾの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が良かったので
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2016/07/01
他にも無いかと調べたら、ワーグナー管弦楽曲集があった。
曲目は以下のとおり。
ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
ローエングリン」第3幕への前奏曲
さまよえるオランダ人」序曲
タンホイザー」序曲
ジークフリート牧歌
ただし「ジークフリート牧歌」のみシューマッハーなる指揮者。(CD化の際に、ヴァルヴィーゾによる埋め草が見つからなかったという事か?)
この人についてはネットで調べてもスイス出身ながらイギリスで活動した指揮者としかわからない。しかし室内管弦楽団ということは、小編成による「ジークフリート牧歌」はクレンペラーしか聴いた事が無いので、これは期待が大。
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2012/07/05
さて、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲であるが、ゆっくりめのテンポで雄大に始まったのだが、気が付くとかなりテンポが上がっている。気が付かないほどのアッチェレランドがかかっていたのだ。これは凄技。終結部直前には、クナッパーツブッシュなみのうねりもあり、以前「こんなにわくわくした「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲クナッパーツブッシュ以来ではなかろうか」とレーグナーについて書いたが
http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2016/08/19/050214
こちらも、それ並みの名演である。
他の曲も推進力抜群だし、シュターツカペレ・ドレスデンは美しさと凄みが同居する出来。また愛聴盤が増えた。
シューマッハーの「ジークフリート牧歌」は、かなりのハイテンポだが、実はこのテンポが正解では?と思わせる出来で、これも名演の範疇にはいるのではないか。