ミステリー

北村薫「覆面作家」シリーズ

北村薫 「覆面作家は二人いる」(1991)「覆面作家の愛の歌」(1995)「覆面作家の夢の家」(1997)「円紫さんと私」シリーズに続く「覆面作家」シリーズである。「円紫さんと私」同様、高野文子のカバーや挿画がうれしい。深窓の令嬢が探偵、というパターン…

北村薫「朝霧」

北村薫「朝霧」(1998)「円紫さんと私シリーズ第5作は、また中編集(3作)の体裁に戻っている。私は最初作者は「円紫さんと私シリーズ」は前作で終わらせるつもりだった、と思っていた。それまで「私」の時系列に合わせて1年に1作のペースだったこのシ…

北村薫「六の宮の姫君」

北村薫「六の宮の姫君」(1992)以前にも書いたが、もしかしたら私が初めて読む北村薫作品であったかもしれない「円紫さんと私シリーズ」第4作である。番外編と見る向きもあるが、これはシリーズのクライマックスであろう。なぜならば解説によると「私」が…

北村薫「夜の蝉」「秋の花」

北村薫「夜の蝉」(1990)「円紫さんと私シリーズ」第2作は3編の中編を収録。相変わらずストーリーがあるような無いような、たんたんとした物語が、最後には実はすべてが伏線であるとわかる瞬間の醍醐味はこの上ない。(この作品だけ読むにはなんの問題も…

北村薫「空飛ぶ馬」

北村薫「空飛ぶ馬」(1989)私はせっかちである(笑)なので、ミステリーやSFは、ぱっと読んでストーリーがわかるものが読みやすい。勿論ミステリーでもSFでも、じっくり読まなければならない作品があるので、そういう時は腰を落ち着けて読むようにして…

北村薫について

北村薫について北村薫という人は、以前から気になっていたのだが、読むタイミングが無かった。山岸凉子に芥川龍之介の「六の宮の姫君」をモチーフにした「朱雀門」という作品があるのだが、それを読んだ頃に北村薫の「六の宮の姫君」を書店で見つけた。カバ…

邦光史郎「幻の銅鐸」「幻の貴人古墳 」

邦光史郎「幻の銅鐸」(1984)それまでは1年に1、2作のペースだった「幻シリーズ」も一息ついたのか、前作から6年あいている。そういえば、銅鐸というものを初めて知った時、それが日本史の中にまったく記載されていない謎の存在だと知ってびっくりした…

邦光史郎「幻の法隆寺」「幻の恋歌」「幻の古代文字」

邦光史郎「幻の法隆寺」(1977)歴史は勝者が作る。ゆえに敗者について書かれた歴史的記述は、眉に唾をつけて読まなければならない。聖徳太子の時代は、蘇我氏、そして聖徳太子自身についても、この作品で指摘されている通り歴史的記述には矛盾が多い。(物…

邦光史郎「幻の騎馬王朝」「幻の日本原人」

邦光史郎「幻の騎馬王朝」(1976)次々の変死をとげる「語り部」達、という展開に魅かれて読み進めても、いったいどういう落としどころがあるのかわからなくなってきたのだが、終わってみればすべての伏線が見事に統合されていて、これはかなり読み応えのあ…

邦光史郎「幻の近江京」「幻の高松塚」

邦光史郎「幻の近江京」(1974)幻シリーズ第2作である。前作では傲岸不遜の女嫌いの中年探偵神原東洋が、親子ほども違う年頃の女性に恋をしたせいか若干性格が丸くなっているのが微笑ましい。天智天皇の近江京の場所が特定されていないということを、寡聞…

邦光史郎の「幻シリーズ」「幻の出雲神話殺人事件」

邦光史郎の「幻シリーズ」古本屋でたまたま見つけたのだが、いわゆる歴史ミステリーシリーズで、寡聞ながら知らなかった。さまざまなジャンルを書いている作家だが「幻シリーズ」はほぼ1970年代の作品なので、ちょうど私が歴史ミステリー等を読みだした頃と…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」エラリー・クイーン編「ミニ・ミステリ傑作選」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」こちらもグリーン氏編集によるラジオドラマ集"The Dead Sleep Lightly"(グリーン氏による長い解説付き)に、短編「刑事の休日」を加え、さらにマジックとミステリー評論の大家、松田道弘の「…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」引き続きカー研究家グリーン氏の"The Door to Doom"から、ラジオドラマの続き、オカルト色のある短編、ホームズ・パロディ、エッセイ、そして日本独自の趣向として江戸川乱歩の「カー問答」が収録…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集4:幽霊射手」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集4:幽霊射手」3巻までは、カー生前に発行された短編集に収録された作品だったが、ここからはカー死後に発行されたカー研究家グリーン氏の編集によるレア作品集となる。第4巻と第5巻は"The Door to Doom"を2冊に…

カー短編全集 1 2 3

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集1:不可能犯罪捜査課」マーチ大佐を探偵役とする「不可能犯罪捜査課シリーズ」が6篇プラスその他の作品4編からなる。以前にも書いたが、不可能犯罪ものは、種明かしをしてみると多少の「肩透かし感」が伴うもので…

カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」

カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」「魔女が笑う夜」とこの作品の間には「ニューゲートの花嫁」と「ビロードの悪魔」という評判の良い作品があるのだが、今のところちょっとお高いので、安くなるまで待つつもり。さて、ドタバタ騒ぎに巻き込まれる天…

ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」カーター・ディクスン「魔女が笑う夜」

ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」この作品は「皇帝のかぎ煙草入れ」と「囁く影」の間の作品だが、いつものことながら、タイトルに魅かれて、慌てて購入したために、この順番になった。劇作家の婚約者が持つ銃が暴発し、著名な病理学者が負…

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」 カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」 「吸血鬼」となると、いつものカーの怪奇趣味と思いがちだが、時代の流れとともに、カーの作風も徐々に変わってきつつある気がする。それは「皇帝のかぎ煙草入れ」もそうだったが、不可能犯罪のトリックが、より心理学的…

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」「皇帝のかぎ煙草入れ」

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」これは、コメディとして、そしてロマンスとして、超一級の面白さをもつ。冒頭が典型的な「ロマコメ」の導入部であるのがなんとも微笑ましい。ディクスン・カー(カーター・ディクスン)の作品は、けっこうロマコメ…

カーター・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」

カーター・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」たぶん当時としては人口に膾炙し始めてころであろう「超能力」による殺人がテーマである。結末は、現代の目から見たらやや肩透かし感はあるが、それまでの展開はスリリングで抜群に面白い。「読者への挑戦状」…

ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」

ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」この作品は「赤後家の殺人」の翌年の作品だが(以下「三つの棺」の時の文章に同じ)3人の警察関係者による同一事件の3方向からの供述という「藪の中」的な構成は意欲的だが、その効果となると疑問だ。…

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」この作品は「赤後家の殺人」と同年の作品だが、前回挑戦しようとした時に、入手困難だった。思い出して調べたらユーズドが見つかったので執筆順に読む、というルール(いつ決まった?(笑))に反するが、今読むことにな…

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」犯人ではないのに、疑われることを恐れて工作するカップル、犯人ではないのに被告席に座りたがる男、さまざまな思惑が交錯して、事件は混迷の度を増してゆく。これは新機軸的魅力があるな。驚天動地の真相って…

カーター・ディクスン「第三の銃弾」完全版

カーター・ディクスン「第三の銃弾」完全版なぜ「完全版」かをおおざっぱにいうと、特殊な事情により、しばらくはイギリス初版本しかなく、アメリカで初めて出版された時は簡易版だった、ということ。(詳しくはネットで調べてください)前にも書いたが、こ…

ジョン・ディクスン・カー「曲がった蝶番」

ジョン・ディクスン・カー「曲がった蝶番」新訳が出ているのを書店で見かけて購入。執筆は「緑のカプセルの謎」の前なので、ぎりぎり執筆順読破の許容範囲であろう(笑) 兄の死により25年ぶりにアメリカからイギリスに帰国し准男爵を継いだA、しかす、1…

ジョン・ディクスン・カー「緑のカプセルの謎」

ジョン・ディクスン・カー「緑のカプセルの謎」ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)を読むといつも思うのが、よくこんなシチュエーションを考え付くものだ、ということ。田舎町で少年が毒殺され、姪にかかった嫌疑をはらすために嫌われ者の富…

カーター・ディクスン「ユダの窓」

カーター・ディクスン「ユダの窓」カーター・ディクスン流の「法廷もの」だが、これは文句なく面白い。まず、物語の流れと、裏に潜む真相が、まあ、よくこんなことを思いつくものだ、と感心するぐらい面白い。以前、密室トリックはわかってみると拍子抜けが…

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」意外な犯人という点ではトップクラスであろう。絵に書いたような「裏の裏をかく」手法。しかし、読者の大半が、この人物を犯人から除外したであろう「物理的な要因」を覆す「真相」が、あまりにも「後出しじゃ…

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」いわゆる密室ものを始めとする不可能犯罪は、読んでいる最中は、いったいどうやって?という興味でずんずん読みすすめるものであるが、真相を知る段階で拍子抜けをするものである。「密室殺人」といいながらも、犯人、被…

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」 というわけで、創元推理文庫版のドイル傑作集1である。ホームズものの「まだらの紐」の戯曲版と、やはりホームズものの「マザリンの宝石」の元ネタとなった戯曲「王冠のダイヤモンド」がメインでこの2作で文庫…