ミステリー

山本周五郎探偵小説全集 第一巻 少年探偵・春田龍介

山本周五郎探偵小説全集 第一巻 少年探偵・春田龍介以前紹介した「山本周五郎探偵小説全集」をやっと読み始める。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/12/21少年探偵・春田龍介を主人公とするシリーズとノンシリーズ数作を収録。戦前の少年少女向け…

内田康夫「怪談の道」

内田康夫「怪談の道」内田康夫の浅見光彦シリーズは、気になる作品があったら手に取る程度になっていたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2005/08/24http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2010/09/29書店で、去年集中して読んだ小泉八雲が絡むと…

山本周五郎探偵小説全集

山本周五郎探偵小説全集先週末に古本屋で見かけてびっくりした、こんな本が出ていたとは!分厚いハードカーバーで別巻を含めて全7巻、古本にしても買うのがためらわれる値段。いつか文庫にならんかな・・・と1週間悩んだ末に結局購入(笑)別巻が無かった…

鯨統一郎「笑う忠臣蔵:女子大生桜川東子の推理」

鯨統一郎「笑う忠臣蔵:女子大生桜川東子の推理」以前触れた「桜川東子シリーズ」の「笑う娘道成寺」がタイトルを変えて文庫化された。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/06/21このシリーズはさまざまな物語に対する新解釈がひとつの売りだが、今…

帚木蓬生「聖灰の暗号」

帚木蓬生「聖灰の暗号」先日「カタリ派」についてちらっと書いたがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/07/11ちょっと興味をもったのでいろいろと調べていたらこの本にいきあたった。カタリ派の古文書にまつわるミステリーである。カタリ派に対する…

北森鴻 浅野里沙子「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル」

北森鴻 浅野里沙子「邪馬台 蓮丈那智フィールドファイル」先日書店で見つけてびっくりして買ってしまった。北森鴻が早世したのは2010年で、こんな事を書いた。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2010/01/27その連載中だったのが「蓮丈那智フィールドフ…

鯨統一郎 未読だったものをまとめて

本日仕事です。 鯨統一郎「すべての美人は名探偵である」「堀アンナの事件簿」をきっかけに、買ったままだった鯨統一郎を読む事にする。鯨統一郎の2大シリーズのヒロインが競演し、日本史をひっくり返すという「ずいずいずっころばし」の謎とそれに絡む殺人…

鯨統一郎「堀アンナの事件簿」「堀アンナの事件簿2」

鯨統一郎「堀アンナの事件簿」「堀アンナの事件簿2」音楽でも本でも、一人の作曲家や作家を集中して読む傾向にある。なので、鯨統一郎も一時期集中して読んだが、その後は書店で見かけるたびに気になるものは買ってはいたが未読のものが何冊かあった。しか…

北村薫「ベッキーさん」シリーズ

北村薫「街の灯」(2003)北村薫の「ベッキーさん」シリーズ第1作である。何も知らない頃はシリーズ名からユーモア・ミステリーかしら等と思っていたが、全く違った。昭和初期、士族のお抱え運転手(当時としては珍しい若き女性)がベッキーさんなのだが、…

北村薫のミステリーエッセイ

北村薫「ミステリ十二か月」新聞に週一で1年間連載された、挿画を含めて文庫版でも見開き2ページ分の短い「子供向けの古今東西のミステリ紹介」エッセイと、その裏話、そしてその挿画(これがまた凝っている)を担当した版画家、さらに有栖川 有栖との連載…

北村薫「覆面作家」シリーズ

北村薫 「覆面作家は二人いる」(1991)「覆面作家の愛の歌」(1995)「覆面作家の夢の家」(1997)「円紫さんと私」シリーズに続く「覆面作家」シリーズである。「円紫さんと私」同様、高野文子のカバーや挿画がうれしい。深窓の令嬢が探偵、というパターン…

北村薫「朝霧」

北村薫「朝霧」(1998)「円紫さんと私シリーズ第5作は、また中編集(3作)の体裁に戻っている。私は最初作者は「円紫さんと私シリーズ」は前作で終わらせるつもりだった、と思っていた。それまで「私」の時系列に合わせて1年に1作のペースだったこのシ…

北村薫「六の宮の姫君」

北村薫「六の宮の姫君」(1992)以前にも書いたが、もしかしたら私が初めて読む北村薫作品であったかもしれない「円紫さんと私シリーズ」第4作である。番外編と見る向きもあるが、これはシリーズのクライマックスであろう。なぜならば解説によると「私」が…

北村薫「夜の蝉」「秋の花」

北村薫「夜の蝉」(1990)「円紫さんと私シリーズ」第2作は3編の中編を収録。相変わらずストーリーがあるような無いような、たんたんとした物語が、最後には実はすべてが伏線であるとわかる瞬間の醍醐味はこの上ない。(この作品だけ読むにはなんの問題も…

北村薫「空飛ぶ馬」

北村薫「空飛ぶ馬」(1989)私はせっかちである(笑)なので、ミステリーやSFは、ぱっと読んでストーリーがわかるものが読みやすい。勿論ミステリーでもSFでも、じっくり読まなければならない作品があるので、そういう時は腰を落ち着けて読むようにして…

北村薫について

北村薫について北村薫という人は、以前から気になっていたのだが、読むタイミングが無かった。山岸凉子に芥川龍之介の「六の宮の姫君」をモチーフにした「朱雀門」という作品があるのだが、それを読んだ頃に北村薫の「六の宮の姫君」を書店で見つけた。カバ…

邦光史郎「幻の銅鐸」「幻の貴人古墳 」

邦光史郎「幻の銅鐸」(1984)それまでは1年に1、2作のペースだった「幻シリーズ」も一息ついたのか、前作から6年あいている。そういえば、銅鐸というものを初めて知った時、それが日本史の中にまったく記載されていない謎の存在だと知ってびっくりした…

邦光史郎「幻の法隆寺」「幻の恋歌」「幻の古代文字」

邦光史郎「幻の法隆寺」(1977)歴史は勝者が作る。ゆえに敗者について書かれた歴史的記述は、眉に唾をつけて読まなければならない。聖徳太子の時代は、蘇我氏、そして聖徳太子自身についても、この作品で指摘されている通り歴史的記述には矛盾が多い。(物…

邦光史郎「幻の騎馬王朝」「幻の日本原人」

邦光史郎「幻の騎馬王朝」(1976)次々の変死をとげる「語り部」達、という展開に魅かれて読み進めても、いったいどういう落としどころがあるのかわからなくなってきたのだが、終わってみればすべての伏線が見事に統合されていて、これはかなり読み応えのあ…

邦光史郎「幻の近江京」「幻の高松塚」

邦光史郎「幻の近江京」(1974)幻シリーズ第2作である。前作では傲岸不遜の女嫌いの中年探偵神原東洋が、親子ほども違う年頃の女性に恋をしたせいか若干性格が丸くなっているのが微笑ましい。天智天皇の近江京の場所が特定されていないということを、寡聞…

邦光史郎の「幻シリーズ」「幻の出雲神話殺人事件」

邦光史郎の「幻シリーズ」古本屋でたまたま見つけたのだが、いわゆる歴史ミステリーシリーズで、寡聞ながら知らなかった。さまざまなジャンルを書いている作家だが「幻シリーズ」はほぼ1970年代の作品なので、ちょうど私が歴史ミステリー等を読みだした頃と…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」エラリー・クイーン編「ミニ・ミステリ傑作選」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集6:ヴァンパイアの塔」こちらもグリーン氏編集によるラジオドラマ集"The Dead Sleep Lightly"(グリーン氏による長い解説付き)に、短編「刑事の休日」を加え、さらにマジックとミステリー評論の大家、松田道弘の「…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」引き続きカー研究家グリーン氏の"The Door to Doom"から、ラジオドラマの続き、オカルト色のある短編、ホームズ・パロディ、エッセイ、そして日本独自の趣向として江戸川乱歩の「カー問答」が収録…

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集4:幽霊射手」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集4:幽霊射手」3巻までは、カー生前に発行された短編集に収録された作品だったが、ここからはカー死後に発行されたカー研究家グリーン氏の編集によるレア作品集となる。第4巻と第5巻は"The Door to Doom"を2冊に…

カー短編全集 1 2 3

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集1:不可能犯罪捜査課」マーチ大佐を探偵役とする「不可能犯罪捜査課シリーズ」が6篇プラスその他の作品4編からなる。以前にも書いたが、不可能犯罪ものは、種明かしをしてみると多少の「肩透かし感」が伴うもので…

カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」

カーター・ディクスン「赤い鎧戸のかげで」「魔女が笑う夜」とこの作品の間には「ニューゲートの花嫁」と「ビロードの悪魔」という評判の良い作品があるのだが、今のところちょっとお高いので、安くなるまで待つつもり。さて、ドタバタ騒ぎに巻き込まれる天…

ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」カーター・ディクスン「魔女が笑う夜」

ジョン・ディクスン・カー「死が二人をわかつまで」この作品は「皇帝のかぎ煙草入れ」と「囁く影」の間の作品だが、いつものことながら、タイトルに魅かれて、慌てて購入したために、この順番になった。劇作家の婚約者が持つ銃が暴発し、著名な病理学者が負…

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」 カーター・ディクスン「青ひげの花嫁」

ジョン・ディクスン・カー「囁く影」 「吸血鬼」となると、いつものカーの怪奇趣味と思いがちだが、時代の流れとともに、カーの作風も徐々に変わってきつつある気がする。それは「皇帝のかぎ煙草入れ」もそうだったが、不可能犯罪のトリックが、より心理学的…

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」「皇帝のかぎ煙草入れ」

ジョン・ディクスン・カー「連続殺人事件」これは、コメディとして、そしてロマンスとして、超一級の面白さをもつ。冒頭が典型的な「ロマコメ」の導入部であるのがなんとも微笑ましい。ディクスン・カー(カーター・ディクスン)の作品は、けっこうロマコメ…

カーター・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」

カーター・ディクスン「読者よ欺かるるなかれ」たぶん当時としては人口に膾炙し始めてころであろう「超能力」による殺人がテーマである。結末は、現代の目から見たらやや肩透かし感はあるが、それまでの展開はスリリングで抜群に面白い。「読者への挑戦状」…