ミステリー

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」意外な犯人という点ではトップクラスであろう。絵に書いたような「裏の裏をかく」手法。しかし、読者の大半が、この人物を犯人から除外したであろう「物理的な要因」を覆す「真相」が、あまりにも「後出しじゃ…

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」いわゆる密室ものを始めとする不可能犯罪は、読んでいる最中は、いったいどうやって?という興味でずんずん読みすすめるものであるが、真相を知る段階で拍子抜けをするものである。「密室殺人」といいながらも、犯人、被…

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」 というわけで、創元推理文庫版のドイル傑作集1である。ホームズものの「まだらの紐」の戯曲版と、やはりホームズものの「マザリンの宝石」の元ネタとなった戯曲「王冠のダイヤモンド」がメインでこの2作で文庫…

ルパン(映画)(2004)

ルパン(映画)(2004)アルセーヌ・ルパン:ロマン・デュリスカリオストロ伯爵夫人:クリスティン・スコット・トーマスボーマニャン:パスカル・グレゴリークラリス:エヴァ・グリーン2004年にルパンが映画化されていたとは知らなかった。「カリオストロ伯…

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」以前挫折したディクスン・カー(カーター・ディクスン)であるがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2011/11/22ルパン・シリーズも読破したことだし、再々挑戦してみることにする。ちなみに、上記の「初期のアンリ…

コナン・ドイル「ドイル傑作集 1 ミステリー編」

コナン・ドイル「ドイル傑作集 1 ミステリー編」ルパン・シリーズを読破したので、以前入手して未読だった、ホームズもの以外のコナン・ドイルの短編を集めたシリーズを読むことにする。「ミステリー編」「海洋奇談編」「怪奇編」の3冊にまとめられている(…

モーリス・ルブラン「金三角」

モーリス・ルブラン「金三角」ミステリーより冒険色が強い(という情報)ということで、こちらも読むのを後回しにしていた作品。こちらも第一次世界大戦が舞台。過去の謎、ロマンスは好みだが、トリックはすぐにあたりがつくし、成り立たせるにはちょっと無…

モーリス・ルブラン「オルヌカン城の謎」

モーリス・ルブラン「オルヌカン城の謎」元々、ルパンが登場しない作品に、無理やりルパンをねじ込ませた、ということで、読むのを後回しにしていた作品。第一次世界大戦中に執筆、発表された作品で、某サイトでは「愛国的戦争ミステリ小説」という表現をし…

森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」

森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」先日の「アバンチュリエ」の続編で、http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/01/14繰り返しになるが第1巻が「ルパンの冒険(戯曲版:アルセーヌ・ルパン)第2巻が「ルパン対ホームズ」より「ユダヤのランプ」で…

モーリス・ルブラン「ルパン最後の恋(リュパン、最後の恋)」

モーリス・ルブラン「ルパン最後の恋(リュパン、最後の恋)」1980年代に発見された、ルブランの推敲中の遺稿を出版したもので、邦訳は2012年に早川書房、ポプラ社から単行本が出版されたが、値段の関係でスルー、昨年創元推理文庫で、ようやく文庫で出たの…

モーリス・ルブラン「ルパン最後の事件」「山羊皮服を着た男」「エメラルドの指輪」

モーリス・ルブラン「ルパン最後の事件」「山羊皮服を着た男」「エメラルドの指輪」この物語は、偕成社の単行本しか邦訳が無いために、今までは入手していなかったのだが、今回中古本で入手した。ルブランの息子の奥さんが大きく関与したといわれ、そのせい…

モーリス・ルブラン「カリオストロの復讐」

モーリス・ルブラン「カリオストロの復讐」「ルパン最後の事件」は問題があり(その時に記述する)「ルパン最後の恋」は遺稿の発掘、ということで、この作品が実質上の最後のルパンということになる。というか、この作品がルパン・シリーズの最後の作品であ…

森田崇「アバンチュリエ」

森田崇「アバンチュリエ」タイトルからはわかりづらいが、ルパンの漫画化である。2011年~2013年分が全5巻で講談社から、続編が小学館から2巻まで刊行中(こちらはまだ未読)講談社分が(邦訳によっていろいろタイトルがついているが)第1短編集「怪盗紳…

モーリス・ルブラン「赤い数珠」

モーリス・ルブラン「赤い数珠」この作品はルパンが登場しないのだが、次作「カリオストロの復讐」に登場するルースラン予審判事が主人公。それだけなら今回読まなくても良いところだが、実は純粋ミステリーとしてルブラン最晩年の傑作である、という評価な…

モーリス・ルブラン「リュパンの冒険(アルセーヌ・ルパン)」

モーリス・ルブラン「リュパンの冒険(アルセーヌ・ルパン)」この作品は、ルブラン自身による(共作)舞台版「アルセーヌ・ルパン」の台本(仏文)の、さらにルブラン自身による(別人との共作)小説化(英文)である。なので、食指が動かなかったのだが、…

モーリス・ルブラン「特捜班ヴィクトール」

モーリス・ルブラン「特捜班ヴィクトール」復活したルパンを執拗に追う老獪な刑事ヴィクトール。はたしてその正体は・・・・ネタばれ覚悟で書くが、主人公の偽物と別人に扮した主人公の対決、というパターンは宮崎駿の「さらば愛しきルパンよ」をはじめ、け…

モーリス・ルブラン「パール・イ・ヴァ荘」「二つの微笑を持つ女」

モーリス・ルブラン「パール・イ・ヴァ荘」「バーネット探偵社」「謎の家」と共に、世にいう「ベシュー三部作」(笑)の最終作である。この「ベシュー三部作」はルパン・ファンには評判が悪いらしい。曰く、ルパン・シリーズらしくない。ライトである。その…

モーリス・ルブラン「緑の目の令嬢」「バーネット探偵社」「謎の家」

モーリス・ルブラン「緑の目の令嬢」「カリオストロの城」の元ネタが含まれている、という前提条件がなければ、なかなかに読み終えるのに苦労する。やはり登場人物が下種ばかりだと、読んでて気分がいいものではない。 モーリス・ルブラン「バーネット探偵社…

モーリス・ルブラン「カリオストロ伯爵夫人」

モーリス・ルブラン「カリオストロ伯爵夫人」ルパン20歳の初冒険。若く清純な恋人がいながら、年上の妖艶な悪女によろめき、後悔し、またもとの彼女の元に戻るという、典型的な馬鹿男の物語。ルパンの性格が嫌いだ、と以前書いた。例えば子供の頃最初に「奇…

モーリス・ルブラン「虎の牙」

モーリス・ルブラン「虎の牙」この作品が、一応ルパンシリーズの時系列的には最後の作品になる。この後に執筆された作品は、時系列的にはこれ以前の話になる(後出しの「ルパン最後の事件」「ルパン最後の恋」がどの時系列になるかは今のところ知らない)そ…

モーリス・ルブラン「棺桶島(三十棺桶島)」

モーリス・ルブラン「棺桶島(三十棺桶島)」ルパンが申し訳程度に登場する「オルヌカン城の謎」、純粋な冒険もの「金三角」を跳ばしてこちらを読む。新潮文庫なのでタイトルは「棺桶島」、こちらもルパンの登場は随分最後の方だが、舞台がブルターニュ(つ…

モーリス・ルブラン「水晶の栓」

モーリス・ルブラン「水晶の栓」前回、なぜルパン・シリーズが苦手か、を書いたのだが、さらに言えるのは、ルブランもヴァン・ヴォクトのように、話の始まりからしばらくは何が謎なのかもわからなくて、読者を五里霧中状態にさせる、という点である。個人的…

モーリス・ルブラン「813」「続813」

モーリス・ルブラン「813」「続813」ルパン・シリーズの読破が何度も挫折していることは以前にも書いた。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2007/05/08今回は、気負わないで、他の作品の合間を縫って読んでいこうかと思う。「813」は子供のころ読んだ…

リアル「時の娘」

リアル「時の娘」以前、ジョセフィン・テイの「時の娘」について書いたことがあったがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2011/01/24昨日のテレビで、なんとそのリチャード3世の骨が発掘された、という話題をやっていた。2012年の事らしい。これがきっ…

中津文彦「義経の征旗」

「義経の征旗(旧題:秀衡の征旗)」(1998)中津文彦「政宗の天下」と同様、藤原秀衡が決起していたら、というシミュレーション小説。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2013/04/08新書版の「秀衡の征旗」で一度読んでいるが、文庫の「義経の征旗」が…

中津文彦「政宗の天下」

政宗の天下(1996~1997)中津文彦若い頃、さかんに歴史ミステリーを読んでいた時期があったが、中津さんの作品は他の作家にくらべて地味で面白味が少ない、という印象があった。いわゆるミステリーにつきものの、名探偵役が快刀乱麻のごとき名推理を見せる…

中津文彦 邪馬台国の殺人

邪馬台国の殺人(2002)中津文彦邪馬台国の謎に迫るミステリー系は、けっこう出尽くした感があるが、これは意表を突かれた。一般に偽書と言われる古史古伝には、神武天皇の父とされるウガヤフキアエズの命の名を冠したウガヤ王朝が数十代続いた、という共通…

秘刀

秘刀(1995)中津文彦後三年の役を舞台とした、日本刀の発祥をめぐる物語。蝦夷の蕨刀の存在から、湾刀である日本刀は蝦夷発祥であるという設定。以前書いた「みちのく王朝謀殺事件」と同様http://hakuasin.hatenablog.com/entry/2013/02/24/084625高橋克彦…

「消えた義経」と「義経不死伝説」

消えた義経(1994)義経不死伝説(2012)(「義経はどこへ消えた?(1996)」加筆再編集)中津文彦「消えた義経」は独立した作品だが「闇の弁慶」の続編としても読める(キーマンは西行法師)そして「闇の弁慶」と同様「義経不死伝説」の第2部以降が、その理…

「闇の弁慶」と「義経不死伝説」

闇の弁慶(1990)義経不死伝説(2012)(「義経はどこへ消えた?(1996)」加筆再編集)中津文彦「闇の弁慶」は保元の乱、平治の乱から打倒平家の源氏の蜂起までの流れを大胆に解釈したもので、「義経不死伝説」の第1部は、その理論的根拠とも言える。中津さ…

中津文彦 みちのく王朝謀殺事件

中津文彦 みちのく王朝謀殺事件一時期、歴史ミステリーを盛んに読んだ頃があって、高橋克彦さんやら、井沢元彦やらと共に中津文彦も何冊か読んでいて、ふと懐かしくなって中古でいろいろと買って読んでいるのだが、この作品は知らなかった。主題は平泉藤原三…

QED ベイカー街の問題

QED ベイカー街の問題(2000)高田崇史QED シリーズの第3作である。私はけっしてシャーロッキアンではない。しかし、ホームズについてのあれやこれやの議論的な事は大好物である(笑)なので、こういう作品は見逃せないな。

カンナ 奥州の覇者

カンナ 奥州の覇者高田崇史カンナ・シリーズ第4作目のテーマは「アテルイ」である。東北人としてはわくわくするのだけれど、カンナ・シリーズを読み始めるにあたって、いろいろとネットで見てみたのだが、ある人のブログに感想が書いてあって、それに対する…

カンナ 鎌倉の血陣

カンナ 鎌倉の血陣高田崇史本屋で見かけて、好物である歴史ミステリーの香りがしたので買ってみた。読んでみたらシリーズ9作中6作目にあたり、シリーズ通してのテーマもあるようで、これは全巻買わねばならんではないかっ(笑)頼家、実朝が北条政子の実子…

完四郎広目手控4 文明怪化

完四郎広目手控4 文明怪化 (文庫化 2010) 高橋克彦 油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その3) 完四郎シリーズもとうとう明治維新の時代に突入。 今回は高橋さんのファンならお馴染みの「新聞錦絵の世界」でも紹介されてい…

蘭陽きらら舞

蘭陽きらら舞 (文庫化 2011)高橋克彦油断をしていたら、高橋克彦さんの作品がけっこう文庫化されていた(その2)こちらは、ぶれの無い、いつもどおりの「だましゑ」シリーズ(こちら)シリーズのファンの期待を裏切らない出来。ちなみにシリーズ最新作「源…

「南朝迷路」のドラマ化?

塔馬教授の天才推理:隠岐島の黄金伝説殺人事件本屋で高橋克彦さんの「南朝迷路」の帯を何気なく見たら、佐々木蔵之介主演でドラマ化とあった。ええ!?っと思ったが、既に6月に放映済みだった。全く気付かなかった。タイトルも全然違うし!ぷんぷん。

おやすみなさい、ホームズさん (アイリーン・アドラーの冒険)

キャロル・ネルソン・ダグラス(1990 翻訳:2011) 本屋の店頭でまた気になるものを見つけてしまった。 原題は"Good Night, Mr. Holmes"で、ホームズファンならぴんとくるであろうが、(翻訳によっては「こんばんわ、ホームズさん」等となっているが)かのア…

サクソンの司教冠(1995 邦訳:2012)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第7弾であり、シリーズ第2作である。3月10日に出たてのほやほやである。これで、長編は初期の5作品の邦訳が終わったことになる。これからはシリーズの順番どおりに翻訳されるのであろう(た…

少年探偵団読本(1994)

先日の「江戸川乱歩に愛をこめて」の「怪人明智文代」の解説でこの本について(明智文代ついての新説が載っているとの事で)触れていた。寡聞にして知らなかったので、あわててユーズドで購入。江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」の解説、研究本である。 各…

江戸川乱歩に愛をこめて(2011)

というわけで(こちら)読みおわる。 さすがに読み応えのある作品揃いだが、大槻ケンヂの「怪人明智文代」が面白かった。 抱腹絶倒の部分あり、深いえぐりこみあり、なかなかに考えさせられる。 小説家としての大槻ケンヂには、まったく興味が無かったのだが…

死をもちて赦されん(1994 邦訳:2011)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第6弾であり、シリーズ第1作 舞台はブリテン島、解説によると第2作の舞台はローマ、つまり「古代アイルランドを舞台としたミステリー」という謳い文句からすると、邦訳が第1作からでは読者が…

江戸川乱歩に愛をこめて(2011)

以前「「乱歩の幻影」というアンソロジーについて触れた事があるが(こちら)その続編的なアンソロジーが光文社から出ていた。 そこでも触れた高橋克彦さんの「悪魔のトリル」も、めでたく収録されている。 以前、芦辺拓の「明智小五郎対金田一耕助」に収録…

修道女フィデルマの洞察(2000 邦訳:2010)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第5弾であり、「洞察」と同様にシリーズ第9作の短編集の15作から5作をを訳出したもの。残りの5作もいずれ邦訳される事を望む。 「修道女フィデルマ・シリーズ」は短編から始まったと以前書…

自分の殺害を予言した占星術師(2004 邦訳:2006)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ」シリーズの短編であるが、アン・ペリー編「ホロスコープは死を招く」という占星術がテーマのミステリー・アンソロジーに収録されている。本来はシリーズ第14作の"Whispers of the Dead"という短編集に収録されてい…

蛇、もっとも禍し(1996 邦訳:2009)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第4弾であり、シリーズ第4作 ある修道院の飲料水をくみ上げる泉から、若い女性の首なし死体が、調査に向かうフィデルマは船旅の途中、無人の大型漂流船に遭遇するが、その船上で彼女が発見した…

修道女フィデルマの叡智(2000 邦訳:2009)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第3弾であり、シリーズ第9作の短編集の15作から5作をを訳出したもの。シリーズ第9作とはいえ、シリーズは長編の前に短編から始まっているので、シリーズのルーツともいえる。 短編でも犯人…

幼き子らよ、我がもとへ(1995 邦訳:2007)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第2弾(シリーズ第3作)である。 前回の「蜘蛛の巣」が、なぜ邦訳の第1弾になったかというと、たぶん当時のアイルランドの一地方を舞台にしているために、当時のアイルランドの社会の仕組みの…

蜘蛛の巣(1997 邦訳:2006)

ピーター・トレメイン 「修道女フィデルマ・シリーズ」の邦訳第1弾(シリーズ第5作)である。 本来「修道女フィデルマ・シリーズ」を読むために、トレメインの最初の邦訳「アイルランド幻想」(こちら)を読んだはずなのに、読んだら他の怪奇・幻想小説を…

ピーター・トレメイン

最近古本屋で「修道女フィデルマ・シリーズ」なるものが目に入って、何か気になっていた。 たまたま別の本屋で「修道女フィデルマの叡智」「修道女フィデルマの洞察」という短編集が2冊ともあったので、とりあえず買ってみた。 そして、家に帰って作者につ…