ミステリー

ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」

ジョン・ディクスン・カー「アラビアンナイトの殺人」この作品は「赤後家の殺人」の翌年の作品だが(以下「三つの棺」の時の文章に同じ)3人の警察関係者による同一事件の3方向からの供述という「藪の中」的な構成は意欲的だが、その効果となると疑問だ。…

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」

ジョン・ディクスン・カー「三つの棺」この作品は「赤後家の殺人」と同年の作品だが、前回挑戦しようとした時に、入手困難だった。思い出して調べたらユーズドが見つかったので執筆順に読む、というルール(いつ決まった?(笑))に反するが、今読むことにな…

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」

ジョン・ディクスン・カー「テニスコートの謎」犯人ではないのに、疑われることを恐れて工作するカップル、犯人ではないのに被告席に座りたがる男、さまざまな思惑が交錯して、事件は混迷の度を増してゆく。これは新機軸的魅力があるな。驚天動地の真相って…

カーター・ディクスン「第三の銃弾」完全版

カーター・ディクスン「第三の銃弾」完全版なぜ「完全版」かをおおざっぱにいうと、特殊な事情により、しばらくはイギリス初版本しかなく、アメリカで初めて出版された時は簡易版だった、ということ。(詳しくはネットで調べてください)前にも書いたが、こ…

ジョン・ディクスン・カー「曲がった蝶番」

ジョン・ディクスン・カー「曲がった蝶番」新訳が出ているのを書店で見かけて購入。執筆は「緑のカプセルの謎」の前なので、ぎりぎり執筆順読破の許容範囲であろう(笑) 兄の死により25年ぶりにアメリカからイギリスに帰国し准男爵を継いだA、しかす、1…

ジョン・ディクスン・カー「緑のカプセルの謎」

ジョン・ディクスン・カー「緑のカプセルの謎」ジョン・ディクスン・カー(カーター・ディクスン)を読むといつも思うのが、よくこんなシチュエーションを考え付くものだ、ということ。田舎町で少年が毒殺され、姪にかかった嫌疑をはらすために嫌われ者の富…

カーター・ディクスン「ユダの窓」

カーター・ディクスン「ユダの窓」カーター・ディクスン流の「法廷もの」だが、これは文句なく面白い。まず、物語の流れと、裏に潜む真相が、まあ、よくこんなことを思いつくものだ、と感心するぐらい面白い。以前、密室トリックはわかってみると拍子抜けが…

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」

ジョン・ディクスン・カー「死者はよみがえる」意外な犯人という点ではトップクラスであろう。絵に書いたような「裏の裏をかく」手法。しかし、読者の大半が、この人物を犯人から除外したであろう「物理的な要因」を覆す「真相」が、あまりにも「後出しじゃ…

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」

カーター・ディクスン「孔雀の羽根」いわゆる密室ものを始めとする不可能犯罪は、読んでいる最中は、いったいどうやって?という興味でずんずん読みすすめるものであるが、真相を知る段階で拍子抜けをするものである。「密室殺人」といいながらも、犯人、被…

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」

コナン・ドイル「まだらの紐―ドイル傑作集1」 というわけで、創元推理文庫版のドイル傑作集1である。ホームズものの「まだらの紐」の戯曲版と、やはりホームズものの「マザリンの宝石」の元ネタとなった戯曲「王冠のダイヤモンド」がメインでこの2作で文庫…

ルパン(映画)(2004)

ルパン(映画)(2004)アルセーヌ・ルパン:ロマン・デュリスカリオストロ伯爵夫人:クリスティン・スコット・トーマスボーマニャン:パスカル・グレゴリークラリス:エヴァ・グリーン2004年にルパンが映画化されていたとは知らなかった。「カリオストロ伯…

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」

カーター・ディクスン「赤後家の殺人」以前挫折したディクスン・カー(カーター・ディクスン)であるがhttp://hakuasin.hatenablog.com/entries/2011/11/22ルパン・シリーズも読破したことだし、再々挑戦してみることにする。ちなみに、上記の「初期のアンリ…

コナン・ドイル「ドイル傑作集 1 ミステリー編」

コナン・ドイル「ドイル傑作集 1 ミステリー編」ルパン・シリーズを読破したので、以前入手して未読だった、ホームズもの以外のコナン・ドイルの短編を集めたシリーズを読むことにする。「ミステリー編」「海洋奇談編」「怪奇編」の3冊にまとめられている(…

モーリス・ルブラン「金三角」

モーリス・ルブラン「金三角」ミステリーより冒険色が強い(という情報)ということで、こちらも読むのを後回しにしていた作品。こちらも第一次世界大戦が舞台。過去の謎、ロマンスは好みだが、トリックはすぐにあたりがつくし、成り立たせるにはちょっと無…

モーリス・ルブラン「オルヌカン城の謎」

モーリス・ルブラン「オルヌカン城の謎」元々、ルパンが登場しない作品に、無理やりルパンをねじ込ませた、ということで、読むのを後回しにしていた作品。第一次世界大戦中に執筆、発表された作品で、某サイトでは「愛国的戦争ミステリ小説」という表現をし…

森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」

森田崇「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」先日の「アバンチュリエ」の続編で、http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2014/01/14繰り返しになるが第1巻が「ルパンの冒険(戯曲版:アルセーヌ・ルパン)第2巻が「ルパン対ホームズ」より「ユダヤのランプ」で…

モーリス・ルブラン「ルパン最後の恋(リュパン、最後の恋)」

モーリス・ルブラン「ルパン最後の恋(リュパン、最後の恋)」1980年代に発見された、ルブランの推敲中の遺稿を出版したもので、邦訳は2012年に早川書房、ポプラ社から単行本が出版されたが、値段の関係でスルー、昨年創元推理文庫で、ようやく文庫で出たの…

モーリス・ルブラン「ルパン最後の事件」「山羊皮服を着た男」「エメラルドの指輪」

モーリス・ルブラン「ルパン最後の事件」「山羊皮服を着た男」「エメラルドの指輪」この物語は、偕成社の単行本しか邦訳が無いために、今までは入手していなかったのだが、今回中古本で入手した。ルブランの息子の奥さんが大きく関与したといわれ、そのせい…

モーリス・ルブラン「カリオストロの復讐」

モーリス・ルブラン「カリオストロの復讐」「ルパン最後の事件」は問題があり(その時に記述する)「ルパン最後の恋」は遺稿の発掘、ということで、この作品が実質上の最後のルパンということになる。というか、この作品がルパン・シリーズの最後の作品であ…

森田崇「アバンチュリエ」

森田崇「アバンチュリエ」タイトルからはわかりづらいが、ルパンの漫画化である。2011年~2013年分が全5巻で講談社から、続編が小学館から2巻まで刊行中(こちらはまだ未読)講談社分が(邦訳によっていろいろタイトルがついているが)第1短編集「怪盗紳…

モーリス・ルブラン「赤い数珠」

モーリス・ルブラン「赤い数珠」この作品はルパンが登場しないのだが、次作「カリオストロの復讐」に登場するルースラン予審判事が主人公。それだけなら今回読まなくても良いところだが、実は純粋ミステリーとしてルブラン最晩年の傑作である、という評価な…

モーリス・ルブラン「リュパンの冒険(アルセーヌ・ルパン)」

モーリス・ルブラン「リュパンの冒険(アルセーヌ・ルパン)」この作品は、ルブラン自身による(共作)舞台版「アルセーヌ・ルパン」の台本(仏文)の、さらにルブラン自身による(別人との共作)小説化(英文)である。なので、食指が動かなかったのだが、…

モーリス・ルブラン「特捜班ヴィクトール」

モーリス・ルブラン「特捜班ヴィクトール」復活したルパンを執拗に追う老獪な刑事ヴィクトール。はたしてその正体は・・・・ネタばれ覚悟で書くが、主人公の偽物と別人に扮した主人公の対決、というパターンは宮崎駿の「さらば愛しきルパンよ」をはじめ、け…

モーリス・ルブラン「パール・イ・ヴァ荘」「二つの微笑を持つ女」

モーリス・ルブラン「パール・イ・ヴァ荘」「バーネット探偵社」「謎の家」と共に、世にいう「ベシュー三部作」(笑)の最終作である。この「ベシュー三部作」はルパン・ファンには評判が悪いらしい。曰く、ルパン・シリーズらしくない。ライトである。その…

モーリス・ルブラン「緑の目の令嬢」「バーネット探偵社」「謎の家」

モーリス・ルブラン「緑の目の令嬢」「カリオストロの城」の元ネタが含まれている、という前提条件がなければ、なかなかに読み終えるのに苦労する。やはり登場人物が下種ばかりだと、読んでて気分がいいものではない。 モーリス・ルブラン「バーネット探偵社…

モーリス・ルブラン「カリオストロ伯爵夫人」

モーリス・ルブラン「カリオストロ伯爵夫人」ルパン20歳の初冒険。若く清純な恋人がいながら、年上の妖艶な悪女によろめき、後悔し、またもとの彼女の元に戻るという、典型的な馬鹿男の物語。ルパンの性格が嫌いだ、と以前書いた。例えば子供の頃最初に「奇…

モーリス・ルブラン「虎の牙」

モーリス・ルブラン「虎の牙」この作品が、一応ルパンシリーズの時系列的には最後の作品になる。この後に執筆された作品は、時系列的にはこれ以前の話になる(後出しの「ルパン最後の事件」「ルパン最後の恋」がどの時系列になるかは今のところ知らない)そ…

モーリス・ルブラン「棺桶島(三十棺桶島)」

モーリス・ルブラン「棺桶島(三十棺桶島)」ルパンが申し訳程度に登場する「オルヌカン城の謎」、純粋な冒険もの「金三角」を跳ばしてこちらを読む。新潮文庫なのでタイトルは「棺桶島」、こちらもルパンの登場は随分最後の方だが、舞台がブルターニュ(つ…

モーリス・ルブラン「水晶の栓」

モーリス・ルブラン「水晶の栓」前回、なぜルパン・シリーズが苦手か、を書いたのだが、さらに言えるのは、ルブランもヴァン・ヴォクトのように、話の始まりからしばらくは何が謎なのかもわからなくて、読者を五里霧中状態にさせる、という点である。個人的…

モーリス・ルブラン「813」「続813」

モーリス・ルブラン「813」「続813」ルパン・シリーズの読破が何度も挫折していることは以前にも書いた。http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2007/05/08今回は、気負わないで、他の作品の合間を縫って読んでいこうかと思う。「813」は子供のころ読んだ…