文化

外国の新聞

奥さんが雑貨屋で「英字新聞」というポップに惹かれて、筒状に巻いてある新聞を買ってきた。 しかし開いてみると、どう見ても英語ではない。 載っている写真を見ると、インディオのような東洋系の顔がけっこう多いので、二人して「南米かしら」等と話してい…

「若きウェルテルの悩み」と「オシアンの歌」

先日マスネの「ウェルテル」についてちょっと書いたのだが(こちら)「若きウェルテルの悩み」も若い頃にざっと内容を知った程度だったので、再度調べてみたら、重要アイテムとして、ケルトの口承伝説「オシアンの歌」(偽作説あり)が登場している事を知っ…

シャーロック・ホームズ ― ガス燈に浮かぶその生涯

W.S.ベアリング=グルード(1962 翻訳 1977 文庫化 1987) 古本屋で懐かしい本を見つけた。入手したのは文庫だが、単行本時代に読んでいるはず(だが、細かい内容は覚えていない)。 あのシャーロック・ホームズの伝記を、ドイルの作品を元に再構成し脚色…

赤毛のアンとケルト

赤毛のアン・シリーズの、ルーシー・M・モンゴメリについて 「モンゴメリは牧師の妻でありながら、キリスト教の範疇を超えた、一種ケルト的超自然思想をもっていた」 と書いた事があったが(こちら)ネット上でも、そういった方面から書いておられる方がい…

三つの冠の物語 ヒース、樫、オリーブ(1972)

ローズマリー・サトクリフ 別個に発表された3つの作品をまとめたもの。ちょうど良く冠がテーマなのは、元々まとめる構想があったのだろうか。 「族長の娘 - ヒースの花冠」(1967)ブリトゥン 1,2世紀頃 「樫の葉の冠」(1968)ピクトと戦うローマ 3,4世紀…

太陽の戦士(1958)

ローズマリー・サトクリフ この作品も「第九軍団のワシ」(1954)と「ともしびをかかげて」(1959)の間に書かれており、ブリテンを舞台にした作品である。しかし時系列的には紀元前900年、青銅器時代である。ギリシャのポリス時代の末期、ローマの萌芽の150…

ケルトとダーナ神族、大和民族と出雲民族

(これも震災前の文章) 古代日本において、大和民族が出雲民族を征服した時、大和民族は、たぶん出雲民族の王であった大国主を神として出雲大社に祀った。それも、かつて「雲太 和二 京三(うんた わに きょうさん)」(一番 出雲大社 二番 東大寺大仏殿 三…

シールド・リング ヴァイキングの心の砦(1956)

ローズマリー・サトクリフ (震災前に書いてあった記事) 実は「アイクラ家のイルカの指輪シリーズ」は「剣の歌」(1997)で終わりにしようかと思っていたのだが「剣の歌」が良かったので、時系列的には最終作のこの作品も読んでしまう。 時系列的には最終作…

「訂正」宗像教授伝奇考

読む本はまだまだたまっているのだが、なぜか星野之宣の「ヤマタイカ」や「宗像教授異考録」の前シリーズの「宗像教授伝奇考」を読み返したくなって読んでいたのだが、 以前「宗像教授異考録」の最終巻で「最終話では、今までの巻では記述が無かったケルトに…

ケルトとローマの息子(1955)

ローズマリー・サトクリフ この作品は、いわゆる「ローマン・ブリテン4部作」や「アイクラ家のイルカの指輪シリーズ」ではないものの「第九軍団のワシ」(1954)の直後に書かれており、また時系列的にも「第九軍団のワシ」の後と思われる事から、もしかした…

剣の歌 ヴァイキングの物語(1997)

ローズマリー・サトクリフ サトクリフの死後に発売された、文字通り絶筆作品。「アイクラ家のイルカの指輪シリーズ」最後の作品である(時系列的には、1956年発表の「シールド・リング ヴァイキングの心の砦」の前にあたる) 最初は指環目当てで読み始めたが…

辺境のオオカミ(1980)

ローズマリー・サトクリフ 岩波書店で言うところの「ローマンブリテン4部作」の4作目「アイクラ家のイルカの指環シリーズ」としては、時系列的には「銀の枝」の後、執筆的には「ともしびをかかげて」や「夜明けの風」の約20年後に書かれた作品。 自分の判…

ケルトのラウンド・タワー(Irish round tower)

たまたま寄ったコンビニで、たまたま目にしたコンビに本を買ったら、いきなり「ケルトのラウンド・タワー」というのが出てきた。 ケルトについては、かなり本を読んだつもりだったが、ケルト十字や巨石(メンヒル)等は知っていたが、ケルトのラウンド・タワ…

宗像教授異考録 第15巻

星野之宣 完結だそうである。 15巻の大半は前巻からの「大英博物館の冒険」の後編である。 前巻では「いきなり宗像教授が大英博物館?」と思ったものだったが、どうも「大英博物館」側から打診があり、星野氏は重い腰をあげてイギリスへ行き、そしてはまった…

銀の枝(1957)

ローズマリー・サトクリフ アイクラ家のイルカの指環シリーズの第2作。時代は紀元3世紀末、ローマ皇帝は、マクシミアヌス帝(分割統治)ブリテンでカロウシウス(カラウシウス)が皇帝を名乗っていた時代。 この「カラウシウス」については、寡聞にして初…

「第九軍団のワシ」の映像

その「第九軍団のワシ」(1954)が、BBCで、1977年にアンソニー・ヒギンズ(両親がアイルランド出身)主演でドラマ化されている。 紹介映像 また、2009年に映画化され、2011年にはDVDも発売されているようだ(が、日本公開も発売はなかったようだ) ま…

第九軍団のワシ(1954)

ローズマリー・サトクリフ やっとのことで、ローマン・ブリテンの第1作目を読む。 女王ブーディカの乱(乱って使いたくないけど)から60年後のブリテンに、ローマ軍の若き百人(大)隊長のマーカスが赴任する。彼の父のひきいる第九軍団は、かつてカレド…

クーフリンの正体

ケルトの本はけっこう読んでいるのだが、クーフリン(クー・フーリン)というケルト神話の英雄が、戦いに我を忘れた時の描写が(本によって細かい違いはあるが、だいだい)以下のような感じ。 額の光輪がまぶしく輝く 片方の目がつりあがって顔の中にめりこ…

サトクリフのローマン・ブリテン・シリーズ

サトクリフのローマン・ブリテン・シリーズは、一般には「ローマン・ブリテン4部作」と呼ばれている。(出版順) 1954 第九軍団のワシ 1957 銀の枝 1959 ともしびをかかげて 1980 辺境のオオカミ しかし、前にも書いたが「夜明けの風」は、あきらかに「とも…

「夜明けの風」(1961)

ローズマリー・サトクリフ 「落日の剣」「アネイリンの歌」で、アーサー王関連も一息ついたと思ったが、「ローマン・ブリテンシリーズ」でアイクラへと受け継がれてきた「イルカの指環」を持つ少年が主人公の、アルトスが没して100年後の時代を描いた作品が…

黄金の騎士フィン・マックール

ローズマリー サトクリフ(1967) 先日のクーフリンと同様にサトクリフによる再話である。 こちらはクーフリンより後の時代のため、解説にあるようにアーサー王伝説等の騎士物語に近い体裁である。その分、ある意味(残酷な事はあっても)おおらかなクーフリ…

炎の戦士クーフリン

ローズマリー・サトクリフ(1963) 先日つん読状態から開放されるだろう、と書いたが(こちら)「ローマンブリテン」ものにちょっと読み疲れした感じなので、気分転換にやっと読む。 いわゆる「再話」という形式で、ケルト神話をサトクリフの文章で改めて書…

アネイリンの歌 ケルトの戦の物語

ローズマリ・サトクリフ(1990) 6世紀のウェールズの詩人、アネイリンによる叙事詩「ゴドディン」よりサトクリフが自由に紡ぎ出した物語。ゴドディンとは、今のスコットランドのアントニンの壁とハドリアヌスの壁(長城)の間の地域で、史実のアーサー王、ア…

落日の剣 真実のアーサー王の物語

ローズマリ・サトクリフ(1963 翻訳 2002) というわけで(こちらとこちら)再挑戦する。 いきなり「ともしびをかかげて」の主人公アイクラの名前が出てきてうれしくなってしまう。 状況も、前回読んだ時よりもよくわかるので、やはり「ともしびをかかげて」…

バスク

「愛の妙薬」の舞台はバスクであるが、バスク人とは系統不明の民族なんだとか。 彼らの言語、バスク語が孤立した言語だかららしい。 スペイン東北部からフランス西北部にかけての地域に住んでいて、スペインにはバスク自治州もある。 以前、ベルベル人と言う…

ともしびをかかげて(1959)

ローズマリ・サトクリフ これを読むまでの経緯はこちら サトクリフの「ローマン・ブリテン4部作」が岩波少年文庫に収録され始めたのは2,3年前からで、書店に並んでいるのを見かけては、ぽつぽつ揃えてはいたのだけれど、当時は「ローマ=悪」「ケルト=…

アヴァロンの霧(1983)

マリオン・ジマー・ブラッドリー 何回か浮気中断をしながらも、やっと読了した。前回の記事はこちら 読み進むにつれ、いろいろな感想があったので、メモしたりしていたのだが、全て読了したら、それらのメモは廃棄した。つまりは、途中の感想は、あまり意味…

ベートーヴェンと東洋哲学

若い頃にさんざん聴いたベートーヴェンは、大好きな「エロイカ」も「合唱付き」も、最近はほとんど聴かないのだが、最近、ちょっとネットサーフィンで知ってびっくりした事があった。。 例の「不滅の恋人」がほぼ特定されていた、というのも驚いたのだが(詳…

シベリウスとカレワラ

(載せそびれていた昨年12月に書いた文章ですので、タイミングがづれてます) フィンランドと言う国は、ハンガリーと並んで言語的に非ヨーロッパである事から、以前から興味があり、随分前にシベリウスも何枚か買っていたのだが、交響詩「フィンランディア…

アーサー王とサルマート

以前「アーサー王伝説のルーツの一つとして「ナルト叙事詩」というのがあるらしい」と書いたが(こちら) 具体的な書名は「アーサー王伝説の起源 スキタイからキャメロットへ」といい、かなりお高いので、なんとかネットで情報を集めてみた。 「ナルト叙事詩…