ひと夏の旅(1949)

ドロシー・ギルマン
私の把握している限り、ドロシー・ギルマンの最初期の長編。
孤児院にいるジェニーは十数年ぶりに会うほぼ初対面の父親と、自宅兼改造おんぼろバスでひと夏の旅に出る。ひょんなことから、その旅に参加する人間がどんどん増えてゆき・・・といった、ロード・ムービーや少女漫画にでてきそうなシチュエーション。
もともと児童書ということもあり、若干のご都合主義も見られるが、破天荒なストーリー展開は純粋に楽しめる。裏テーマは魂の成長だな。

ブルックナー交響曲第5番

ヨッフム指揮 ドレスデン国立管弦楽団(1980)
ネット上でヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデンブルックナー全集を「私はこれでブルックナーに目覚めた!」と絶賛している方がいた。
ええ!?と思ったが、その人もわかっているようで
「必ずしもヨッフムの演奏を評価しない音楽ファンも多い。理由は明らかで、ヨッフムブルックナーは、指揮者の強烈な個性が丸出しなのである」とある。
要は、ヨッフムの作為をよしとするか否かの問題だ。
もちろん作為が悪いわけではない。クナもシューリヒトもマタチッチも、皆それぞれ個性に応じた作為を行っている。しかしそれがブルックナーの本質に沿った作為かどうかで結果は全く違ってくる。
じつはこの第5は、ヨッフムの作為的な音作りに耐えきれず、とてもではないが全部聴きとおせるか自信が無くなり、間にお気に入りの他の指揮者のブルックナーを聴いてリハビリをしながらやっと聴きとおしたのであった。
しかし、ヨッフムは最晩年のアムステルダム・コンセルトヘボウとの演奏が、かなり作為が取れてきた名演との噂があるので、そっちを確認したいところ。