自由の鐘(1963)

ドロシー・ギルマン
ギルマンのジュニア向け時代の作品。「バックスキンの少女」との間に4作品あるはずだが邦訳は無い。
アメリカ独立前夜のボストン、誘拐された子供が当たり前のように金銭でやり取りされる時代、まさにそのようにしてイギリスからつれてこられた少年ジェッド、ボストン茶(会)事件を背景に、新イギリス派と独立派に二分された市民のはざ間で、「自由」という概念をはじめ、さまざまなことを学んでゆく。
もうジュニア向けの残滓は、主人公が少年である、という点のみの読み応え充分の作品。
ミセス・ポリファックス・シリーズ以前の最後の作品であるが、実はこれまでの作品は、邦訳では著者名がドロシー・ギルマンで統一されているが、原書では"Dorothy Gilman Butters"であり、ミセス・ポリファックス・シリーズ以降は"Dorothy Gilman"である。
つまりは、離婚後の第1作がミセス・ポリファックス・シリーズであったというわけだ。これも興味深い話。
さて、次からははミセス・ポリファックス・シリーズ開始以降のノン・シリーズ作品を読むことになる。

ブルックナー 交響曲第7番 ハース版

朝比奈隆 大阪フィルハーモニー交響楽団(2001)
朝比奈さんのブル7には、最晩年の速めのテンポの名演があるらしい、と以前書いたが、この盤である。
速めのテンポも自家薬篭中のものとなり、どこまでも自然だ。透徹性のある軽やかな朝比奈のブル7は意外だが悪くない。しかし、好みから言うとやはり聖フローリアン(1975)か東京カテドラル(1980)だな。
実は朝比奈さんのブル7は十数種類もあり、他にも名演はあるようだが、とても全部は買いきれないので、今のところこれで打ち止めのつもり。