ブルックナー 交響曲第9番

マタチッチ指揮 ウィーン交響楽団(1983)
店頭で廉価だったのであわてて購入。
解説ではチェコ・フィル盤(1980)より音がいいとあるが首をかしげざるを得ない。放送用の録音だが、全体に抜けが悪く、マイクの位置のせいなのか、許容量を超えてしまってかえって吸収しきれなかったのか、強奏(と思われる箇所)の金管がなんか不自然に小さい。また、音量レベルの揺れもある。
解説では「強奏をさせない=きわめて内省的な」としているが、単に録音が悪いので強奏に聴こえないのを勘違いしているのかと最初は思ってしまった。
しかし、弦や木管は哀切的な枯淡の境地で、特にアダージョは単なる弱々しい演奏に堕するギリギリのところに踏みとどまっていながら、実にニュアンスに富んだ名演で、これなら「きわめて内省的な」という表現にも納得。正直、こういうブル9のアダージョは他では聴けないだろう。
このウィーン交響盤とチェコ・フィル盤の関係は、第7におけるチェコ・フィル盤(1967)とスロヴェニア・フィル盤(1984)との関係に良く似ていると思う(こちら
個人的にはテンポの動きが大きい、より激しい演奏のチェコ・フィル盤より、ウィーン交響盤をとるかな。