おやすみなさい、ホームズさん (アイリーン・アドラーの冒険)

キャロル・ネルソン・ダグラス(1990 翻訳:2011)
本屋の店頭でまた気になるものを見つけてしまった。
原題は"Good Night, Mr. Holmes"で、ホームズファンならぴんとくるであろうが、(翻訳によっては「こんばんわ、ホームズさん」等となっているが)かのアイリーン・アドラーが変装してホームスに放った最後の一言なのである。
つまりはアイリーン・アドラーから見た「ボヘミアの醜聞」という趣向。翻訳こそ2011年だが1990年の作品で、この作品の後アイリーンを主人公とした人気シリーズ(既刊8作)に発展しているらしい。
序盤はなんかやたら寄り道するので、ちょっといらついて期待はずれかと思ったが、すべてがちゃんと伏線になっていた。クライマックスはかなり盛り上がる。オスカー・ワイルドドヴォルザーク等、実在の人物の登場も楽しい。ただしミステリーというよりは冒険サスペンス。
シリーズ前半の4作は「ボヘミアの醜聞」を引きずっているらしいので、是非翻訳を出して欲しいものだ。