「ナクソス島のアリアドネ」の映像

R・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ
レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団(1988)
ジェシー・ノーマン
キャスリーン・バトル
バーバラ・ボニー
ドーン・アップショー
タチアナ・トロヤノス
アンソニー・ラチューラ
ジェイムズ・キング
アーサー・コーン
ジェイムズ・コートニー

LDを買ったのは、もう随分前の事で、なんで買ったのかわからないが、当時LDの値下げ時期だったのか、なんかの評価を見て買っておこうと思ったのか、しかし、買ったのに一度も見ずに何年たったろうか。先日、LDをDVDに焼いたのだが、3連休で時間があったので、やっと見ることができた。
しかし!なんでもっと早く見なかったのか!面白いではないかっ!
基本はドタバタである。
貴族のお屋敷で上演されるために依頼された(彼にとっての一世一代の大芸術作品である)オペラの上演を待つ若き作曲家の耳に、オペラ後に場末の低俗コメディが演じられるとの話が入ってきてのパニック、さらに上演直前に、オペラとコメディを同時上演しろ、それも上演時間は伸ばすな、との厳命。当然オペラ部分はカットが必要になる。芸術を取るべきか、上演機会を取るべきか。コメディ劇団は百戦錬磨のアドリブOKのプロフェッショナル、かくして全体未聞のコラボの幕は上がる。
このドタバタ部分も秀逸なのだが、このオペラの深いところは「聖」VS「俗」、「芸術」VS「通俗」という、ある種答えの出ない永遠の芸術テーマが盛り込まれている点なのだ。
頭の中だけで昇華された芸術に真実はあるのか、血と汗と涙にまみれた世俗の奥に真実の光は無いのか。それはワーグナーからモーツァルトへ、つまり「サロメ」「エレクトラ」から「ばらの騎士」へと至ったR・シュトラウス自身のテーマでもあったろう。
これは、他の録音も聴きたいところだ。