ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」

ジョン・ディクスン・カー「カー短編全集5:黒い塔の恐怖」
引き続きカー研究家グリーン氏の"The Door to Doom"から、ラジオドラマの続き、オカルト色のある短編、ホームズ・パロディ、エッセイ、そして日本独自の趣向として江戸川乱歩の「カー問答」が収録されている。
オカルト色のある短編が生前の短編集から漏れたのは、オカルト色以外にも、実は他の作品とアイデアがかぶっている、という点が挙げられると思う。それはそれで、同じアイデアをどう別作品に仕上げているか、というファンには興味深い考察ができる。
ホームズ・パロディというのは、アメリカ推理作家協会の総会の恒例の素人芝居(日本の文士劇みたいなものか)の脚本で、本来なら2作品収録されているはずだが、1作品は他のオムニバスに収録ということでこちらには無い。
実はカ―短編全集1巻にもそういうことがあり、それは江戸川乱歩編の「世界短編傑作集 5」に収録されているのだが、たまたま、私は持っていたからよかったものの
http://hakuasin.hatenablog.com/entries/2007/03/20
出版社としては一冊でも多く買ってほしいというのはわかるが、読者としては、せっかく買った本が画竜点睛を欠く感じで、あまり気持ちのいいものではない。(結局買ってしまうんだろうが)