ハイドン クイケンのパリセット その1

ハイドン クイケンのパリセット その1

ハイドン 交響曲第82番「熊」
ハイドン 交響曲第83番「めんどり」
ハイドン 交響曲第84番
クイケン指揮 ジ・エイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団(1989)
ハイドンのパリセット(全6曲)のクイケン盤が廉価だったので買ってしまう。
もし違ったら申し訳ないが、ハイドンと言えば、交響曲の父、モーツァルトベートーヴェンのよき先輩、「びっくり」「さよなら」等の洒落た交響曲を書いた人、そして、モーツァルトの天才性、ベートーヴェンのロマン性に比して、形式尊重で地味というのが一般的なイメージではないだろうか。
だいたい、誤解を招く原因が曲のタイトルである。「熊」とか「めんどり」とか、なんかユーモラスな交響曲だとしか思えないではないか。
しかし、ベートーヴェン以降のクラシックに慣れた人にとってはタイトルは「標題」であるが、当時のタイトルは本人が付けたのではない単なるニックネームでしかないのである。
その証拠に「熊」は実にチャーミングな曲だし「めんどり」は、ここにもハイドン版「疾走する悲しみ」ハケーンなのだった。「めんどり」のフィナーレは当時のフィナーレに珍しい三連四拍子で、スケルツォの先取りの感あり。
84番はめくるめくメロディと躍動感の第1楽章、哀愁の第2楽章が印象的。
思えば、ロマン派への影響の絶対的な強さから、ベートーヴェン以前のクラシックは軽視されてきた感がある。モーツァルトでさえ、オペラ以外がさかんに聴かれるようになったのは、そんなに古い話ではない。もうこれからは「ハイドンは地味」という先入観は捨てなければいけないと思う。