ポセイドンの目覚め(IN THE WAKE OF POSEIDON)

いつのころからか、このアルバムの評価は以下のようなものしか聞こえてこない。いわく「宮殿の下手糞なコピー」いわく「2番煎じ」いわく「汚点」いったいどうしてこんなことになってしまったのか。
実はこの原因はCDリマスターによるものではないか?なぜなら、このポセイドンのCDは、アナログ時よりも音質バランス等が「宮殿」に近くなっているからだ。まるで、わざとこのアルバムが「宮殿の下手糞なコピー」に聴こえるかのように。それは表題曲「ポセイドンの目覚め」においてもっとも顕著である。乾いてエコーの少ないアバンギャルドなドラムの音、じゃまなくらいアドリブで切り込むアコースティックギター等が、ものの見事にめだたなくなるように加工されている。
CDしか聴かないで、「ポセイドンは宮殿の2番煎じ」だと思っている人がいたいら何とかしてアナログ盤を聴いてほしい。
この時期(メンバーの問題等)曲構成は確かに「宮殿」の形を借りざるを得なかったが、さらに前へ進もうとしているんだという意気込みが、前述のドラム、ギター、元々のリズム隊コンビであったベース、ゲストジャズピアニスト(キース・ティペット)等の激しい演奏に現れているような気がしたものだ(当時は)次作「リザード」「アイランズ」におけるフリージャズ的なアプローチ、「太陽と戦慄」以降のフリージャズならぬフリーロック的アプローチへの流れが実はこの「ポセイドン」から始まっているのだ。それをフリップ御大みずからおとしめるような真似をするなんて・・・・(この人はファンだが、アナログのCD化の際、いじりすぎだ!!リマスターの域を越えている!余罪あり)と、長年の思いをやっとここで吐き出すことが出来ました。