ジョン・ウェットンのベース:「太陽と戦慄」以前

①1972/10/13 ZOOM CLUB(THE COLELECTOR'S KING CRIMSON VOL 7)
さて、前回「指弾き」「ピック弾き」の切り替え時期を突き止めるのは、割合簡単と書いてしまったが、そう一筋縄ではいかないようだ。音が悪いながらもこの演奏ではどうも「ピック弾き」に聴こえる。前回、クリムゾン参加直後は「指弾き」と断定してしまったのに!最初日付の間違いでは?とも思ったが確かにこのメンバーになって初めてのライブで、明らかに以前のメンバーで実験的に行われていた曲(海賊盤で聴いた)が元になっているものや②の方が「太陽と戦慄」に近づいている事を考えると、やはりあっているのだろう。わからなくなってきた。しょうがないわからないままに進もう。
ここで興味深いのは「放浪者」が実は「MANTRA」(1期のライブのみで演奏されたインスト曲)のギターリフが元になって形作られていったという事だ。①②では、未だギターリフの形がのこり容易に「MANTRA」の関連が想像される。しかし、「太陽と戦慄」においてはギターリフを低音弦音のメロトロンに置き換える事により、まったく違った曲として印象付けるのに成功している。そして、この曲は「USAライブ」という最終形へむけて変遷していく。
もうひとつ興味深い事、「イージー・マネー」のベースが「キャット・フード」のパターンで演奏されているのだ。やはりこの時期は、みんな手探りだったのがよくわかる。
②1972/10/17 BEAT CLUB BREMEN(THE COLELECTOR'S KING CRIMSON VOL 1)
たった4日後なのに、ここでは「指弾き」で、もう彼の特徴的な弾き方は完成されている。このあとのスタジオ録音でもこのぐらいやってくれれば「太陽と戦慄」の印象も変わったかもしれない。
①②はパーカッショニスト、ジェイミー・ミュアの演奏が聴ける数少ないオフィシャルライブで②は完成度も増しているので、ファンは必聴であろう。

1973/1〜2 にかけて「太陽と戦慄」が録音される。