ジェネシス「セコンズアウト」(SECONDS OUT)邦題が「幻惑のスーパーライブ」になったりならなかったり。

もうピーターはいないが、彼の在籍時の話はゆっくり書くとして、ここもやはりベースの話。
「ファース・オブ・フィフス」ベースのマイケル・ラザフォードは、これ以前にもライブで、12弦(エレキ)をリズムギターとして弾き、低音は自らがベースペダルを踏む(椅子に座って)という技でバンドのライブサウンドの充実を図っていた。代表的なのは「怪奇骨董音楽箱」(っていうか MUSICAL BOX でいいと思う)これは、スタジオ盤では明らかに、ベースと12弦をオーバーダビングしている。しかしこの「ファース・オブ・フィフス」はちょっと違う。12弦(エレキ)+ベースのダブルネックギターを抱え、中間のギターソロのバックで、ベースを刻み、ここぞというところで12弦(エレキ)に切替え、ベースペダルを踏みながら、美しいアルペジオを(控えめに)弾いて、またベースに戻るという、注意して聴かないとわからんしぶい技を使っているのだ。
これが MISICAL BOX と違う点は、スタジオ盤「月影の騎士」での同曲で、同じように演奏しているという事(その部分のオーバーダビング無し)つまり、スタジオ時から、ライブ演奏を想定した仕上げになっているという、なんとも驚きの曲である。けっこうスリリングなので気がつかなかった人は聴いてみて。
もうひとつ今度はドラムの話。
ここでは、ボーカルを兼任したフィル・コリンズのために、チェスター・トンプソンがサポートドラマーとして参加しているが、「シネマ・ショウ」だけは我が最愛のビル・ブラッフォードがたたいている。客席で見ていたジョン・ウェットンがあまりに感動し「絶対にもう一度ビルとやるんだ!」と決心し「UK」を結成したのは有名な話。さてドラムをたたく人には珍しくない話かもしれないが、ハイハットを踏むと2枚のシンバルが開き、足をはずすと2枚のシンバルが重なって音がする。踏んだ時、スティックでたたくと音がし、足をはずすと音がする。この繰り返しで、ハイハットを刻むと「ツクツクツクツク」という心地よい響きがする。ドラムが入ってすぐの静かなところである。スネアも聴きのがすな!