女には向かない職業(1972)

P.D.ジェイムズ
同TVムービー(1998 英)
新米女性探偵が主人公というだけで、変な人気がある。この作品や、P.D.ジェイムズの魅力は、それだけでは決して無いのだが。(「罪なき血」など、純粋なミステリではないが、テーマがヘビーでヘビーで、読了後ぐったりである。)で、テレビながら映画にもなっているわけだが、ほぼ原作に忠実な好感のもてる仕上がりだった。(ヒロインが水野美紀っぽい)ただし、原作では、他の作品の主役であるダルグリッシュ警視との対決シーンがあるが、そこは割愛してある。ところがである。エンディング寸前に、心身ともに疲れきったヒロインが、車の中で休息を取っているとき、ダンプの運ちゃんが声をかけ、それに対して怒鳴りつけるシーンがあるが、このシーンは、そのダルグリッシュ警視との対決シーンへの重要な伏線になっている。逆にいえば、ダルグリッシュ警視との対決シーンが無い場合、何の意味もないシーンなのである。原作をきっちり読み込んだ上での脚本と思えたのだが、なぜ、このシーンを入れたのかが、大変疑問であった。