ウェザーリポートとソフト・マシーン

金銭上の関係でウェザーリポートがなかなかそろわないので、比較の意味もあってソフト・マシーンをつらつら聴きなおしている。やはり、かたや根っこがフリージャズ、かたや根っこがサイケ&プログレなので、方法論からして違うのだった。
ソフツは、どこまでいっても理論というか頭の中で厳密に構築された音楽のような気がする。初期のウェザーは各メンバーのジャズ的なセンス(肉体的とでも言おうか)が先行しているようだ。これはどちらに対しても悪口を言っているわけではないし、どっちもすごくいいのだ。
ソフツは、一時期フリージャズに聴こえるような音楽に接近した事がある。サックスのエルトン・ディーン在籍時で、彼自体はたぶんフリージャズ時代のコルトレーン信奉者と思われる。ソフツ脱退後の彼のソロを聴くとそれがよくわかるし、本当はソフツでこれをやりたかったのでは?と思わせる。しかしソフツの音楽はいくらフリージャズに聴こえても、聴こえるだけであって実際は厳密な構成の元に構築されていた。
エルトン・ディーン脱退後はカール・ジェンキンス(サックス&キーボード)が加入し、元の「ニュークリアス」時代の方法論を取り入れバンドの主導権を握る。(半数近く作曲を担当していたベースのヒュー・ホッパーもその後脱退)その方法論とは、ジャージー&キャッチャー&変拍子のリフにソロ楽器のインプロヴィゼーションがかぶさるというもので、その後のフュージョンの主流にもなったやり方だ。カールは確かにソフツを一般的なバンドにした功績がある。しかし彼の音楽は惜しいかな浅いのだ。聞き込めば聞き込むほど飽きが来る。時間をおいてたまに聴くと悪くないなあと思うのだが。そこらへんが彼の功罪の罪の方。
ちなみに「アディエマス」は彼中心のユニットだが、こちらは飽きがこない。あ、他の重要メンバーについて語っていない。うーむ。