探偵ガリレオ 予知夢

東野圭吾
白夜行」や直木賞受賞で今が旬(?)の東野圭吾を奥さんが読み始めていて、私もお流れで読み始める。ほんとはデビューの「放課後」から順番に行きたいところだが、なにせ作品が多い人だ。この人も私と同世代、ほんとに推理作家には多い。思うに、この世代は必ずといっていいほど「ホームズ」「ルパン」「怪人二十面相」は読んでいるだろうし、推理小説に興味をもてば、その後必ず、クィーンやクリスティなどの海外の定番を読む。翻って日本の作家を読もうというときに、当時はわくわくするような本来の推理小説が無かったのは事実で、そのせいでみんな「じゃあ自分で書こう」と思ったに違いない。
それはさておき、このシリーズ(短編集)は物理学者が探偵であり、最初は普通の人が知らないような科学的知識によるトリックを暴く形で始まる。本来、推理小説は読者にすべての情報を提示し、さて事件の真相は?と読者に挑戦する形が多いが、科学知識が無いとわからないトリックなら、その時点で「科学啓蒙小説」にはなっても「推理小説」にはならない。しかしさすがにこの人は上手くて、そのトリックを囲むまわりの状況にひとひねりもふたひねりもいれて、ちゃんと「科学啓蒙小説」と「推理小説」を両立させている。すごいものだ。シリーズはだんだん、オカルト的な現象が実は科学で解決できるという話が多くなってくるが、どの作品も、よくこんなことを思いつくものだと、感嘆することしきり。そして、ほんとに知らなかったのだが、直木賞受賞作はこのシリーズの続編だとか、いつか読みたいものだ。