パーンの竜騎士

日頃、日記は短めにを心がけているが、本日はご容赦。
パーンの竜騎士アン・マキャフリイ)の日本での出版順は以下のとおりである。
①竜の戦士
②竜の探索
③白い竜
④竜の歌
⑤竜の歌い手
⑥竜の太鼓
外伝①竜の夜明け
外伝②竜の貴婦人
外伝③ネリルカ物語
⑦竜の反逆者
⑧竜の挑戦
⑨竜とイルカたち
以前、「昔外伝の竜の貴婦人あたりまで読んだ」と書いたが、再び読み始めるとだいぶ記憶があやしかったことがわかった。実は、竪琴師ノ工舎3部作である④〜⑥を(サイドストーリーと言うことで)読んでいなかった。外伝も①しか読んでいなかったようだ。それで、今回思ったのが、それは大失敗だったと言うこと。まずサイドストーリーと言いながら、本来の出版は②と③の間に④⑤が入り、⑥は③の後と言いながらも、年代的には②と③の間の世界を描いたと言ってもよく、③ではじめて登場する人物が、実はすでに④〜⑥で紹介され活躍していたりする。③ですでに恋仲になっている2人が本当に恋仲になるのが⑥だったりする。もし今後このシリーズを読もうとする人がいたら、(初期の分は絶版状態だが)是非①②のあと④⑤⑥を読んでから③に進んで欲しい。同様に外伝も実は本国での出版は外伝②③①の順なのだ。そしてその順で読むと、パーン創世記である外伝①と、コンピュータの再発見が描かれる⑦⑧のつながりが実にしっくり来るのである。
また、サイドストーリーの良さは、正史(?)で起った出来事が別の観点から描かれる点で、これで、シリーズの深みが増している。それで思い出すのが司馬遷史記である。中国歴史書の礎を築いたこの作品の特徴はなんといっても紀伝体であると言う点。王家の歴史を本紀、貴族の歴史を世家、個人の歴史を列伝と言う形で、歴史を多元的に描く。当然同じ事件が、別々の観点から、何度も描かれる。そういう意味では、パーンシリーズは、紀伝体と言えなくも無い。①②③あたりが竜の騎士の本紀、④⑤⑥が竪琴師ノ工舎の世家(もしくは、パーン初の女性竪琴師、メノリの列伝か)あるサイトで、薦められて①を読んだが、あまり面白くなかったと言う意見があった。実はぶっちゃけ①がいちばん面白くないかもしれない(女性初のヒューゴー賞受賞作だが)しかし、めげずに②③と読み進めてゆくと、パーンの深い世界が拡がってゆき、もう病み付きになること請け合いである(「歌う船」とならんで、SF嫌いの女性がSFを読み始めるのにちょうどいいシリーズといえる)パーンの竜騎士シリーズと言うが、実はパーンの住民すべてが主人公ではないだろうか。④⑤⑥、⑧⑨を読むと特に強くそれを感じる。
しかし、⑦竜の反逆者は古本屋でもオークションでも手に入らない。なんとかならんものか。あと外伝③も。どなたか古本屋に行ったついでに探してくださるとありがたい。