Band of Gypsys(1970)

Jimi Hendrix
ウッドストック後に結成された、黒人のみによるスリー・ピース・バンドのライブである。
先日、「当時ジミ・ヘンをいつまでもスリー・ピースのスーパーギタリストとして売りたいというレコード会社の意向があった」と、書いたが、さらに「白人リスナーを対象として」という条件が加わる。現代では考えられない(?)事かもしれないが、上記のような条件で「黒人のみによるスリー・ピース・バンド」にレコード会社が難色を示し、このバンドはスタジオ録音も予定されていたが、結局崩壊する。裏事情として、麻薬でマフィアに多大な借金をを負ったジミが、自分の思い通りの音楽活動ができなかったと言うこともあるらしい。
実は、このアルバムははじめて聴く。以前ジミヘンを聴いてみようという時に、いろいろなサイトで情報を集めたのだが、「黒人のリズム・セクション(それもベースはジミがティーン・エイジャーの軍隊時代からの気心知れた仲間)だと、あまりにもしっくり来すぎて、白人リズム・セクションのエクスペリエンスにあった緊張感が無い」という意見を鵜呑みにして、買っていなかったのであった。で、今回心を改めて聴いてみた。
確かに、上記の意見の通り、しっくり来すぎている感はあるが、その分ジミはどこまでものびのびと弾きまくっている。延々と続く、客をあおるグルーヴは、ロックと言うよりはやはりファンクに接近している感が強い。印象としては「ホークウィンド」や「アースバウンド」の頃の「クリムゾン」に近いものを感じる。そこら辺がエクスペリエンス時代の起承転結のある音楽とは一線を画す。 そして、それはとりもなおさず、彼が、その後やっていきたかった音楽への始まりだったと言える。
思えば、ジミヘンが亡くなった頃は、ジャズとロックが異常接近した時期でもある。ジミヘンが生き続け、このバンド・オブ・ジプシーの世界を発展させていったら、どんなすごいことになっていたことだろうと思う。