ロキシー・ミュージック ストックホルム 1976

いまから30年ぐらい前、NHKテレビに「ヤング・ミュージック・ショー」という、当時でさえ「イタタ」のタイトルの枠があり、時折洋楽のライブなどを放送していた。今では考えられないくらいロックの映像を見る機会の無い時代だったので、飛びついて見ていたものだ。
そんな中、フリートウッドマック全盛期(「噂」とかの頃)とロキシー・ミュージックの映像がカップリングで放送され、評判が良かったのか再放送もされていたはずである。フリートウッドマックはスタジオ盤が物足りなくなるほどの演奏だった。また、未だに"You Make Loving Fun "は名曲だと思っている。
ロキシーの方はそれまで、「なんじゃこの歌い方は」と思っていたフェリーを、一転好きになってしまった思い出深い映像だった。
先日衛星第2「黄金の洋楽ライブ」で放送されたロキシー・ミュージックの映像は、5thアルバムの"Siren"発売後のツアーにも関わらず、4th"Country Life"の"The Thrill of It All"で始まる。おや、もしかしてこれは・・・・と思ったが、"Nightingale"のイントロでギターがアップになった映像で確信を持った。これはまさに30年近く前に見た映像だったのだ!!今になって見られるとはなんともうれしい。
前述のとおり"Siren"発売後のツアーにも関わらず、"Siren"の曲は"Nightingale"のみ、("Love is the Drug""Both Ends Burning"はどうした!)フィル、アンディ、そしてフェリーのソロからの曲まで演奏して、ラストはやはりソロからの「激しい雨がふる」テレビ収録用ということもあるのだろうが、解散寸前の複雑なバンド事情を感じさせる。ラストは"Do the Strand"しか無いだろ!!
「激しい雨がふる」も悪くは無いが、これはフェリーがソロで来日した際のNHKスタジオライブが本当に素晴らしかった(何べんも書いているが)アン・オデール、メル・コリンズ等豪華なバック+ベースがジョン・ウェットン、「激しい雨がふる」のバックコーラス、メンバー紹介時のベースソロ、どれも腰が抜けるほど素晴らしかった。是非衛星第2でまた放送して欲しい(現在「ロキシーの歴史」みたいなビデオに一瞬「NHK提供」として映るのみ)
ベースと言えば、ロキシーの問題点の一つにパーマネントなベーシストの不在と言う点がある。1stこそ正式メンバーだが、2ndはゲスト扱い。3rd〜5thまでは、見た目上パーマネント・ベーシストとして、ジョン・ガスタフソンがクレジットさッレているが、彼は人気スタジオ・ミュージシャン(井上揚水「氷の世界」でも彼のベースが聴ける)で、スタジオのみ、ライブは都合のついた時のみ参加。その証拠にジャケットのメンバー写真には彼のみが常にいない。6thのライブは1973〜1976の4年間4箇所のライブが収録されているが、すべてベーシストが違う。希望としては、ガスタフソンがとにかくプロフェッショナルで、パーマネント・ベーシストであってほしかった。ライブの"Out of the Blue"のジョン・ウェットン(だと思う)のベースはあまりに勘違い。
また、"The Thrill of It All"のイントロ部、かなり難しいベースのパッセージがあり、スタジオ盤のテンポでぎりぎり弾けるが、ライブだとテンポが早くなるため、当然難しいフレーズは簡単にされる。この時のリック・ウィルスもそうだった。やはり不満。つまりパーマネントなベーシストがいないから、ガスタフソンがスタジオで弾いたフレーズが重要なフレーズであると言うことが、おざなりにされてしまうのである。そこらへんがロキシーのライブで、時折感じる不満点。
ちなみにイギリスのロック界は、かなり狭い世界らしくて、酒場でジョンが飲んでいたら、たまたまフェリーが居て、「よお!暇だったらツアーに付き合ってくれない?」ってなのりで、ツアー参加が決まったらしい。