モーツァルト「歌劇:フィガロの結婚」

クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1940年ライブ録音
例のクナの大全集である。当時の慣例としてドイツ語圏ではドイツ語上演で、これはアナログ時代にフルトヴェングラーで経験済み。しかし、レチタティーボ伴奏がピアノなのはちょっと違和感。針音等が常に混じるが1940年にしてみれば充分な音質。クナはまだ若い頃で、テンポも速めできびきびした演奏だが、ところどころいかにもクナらしい、アクセント、テンポの変化、バランスの変化が見える。歌手とテンポが合わないところもいかにもクナだ。
フィガロのシェフラーは、前述のフルトヴェングラー盤では伯爵をやっていた。伯爵夫人のマリア・ライニングはエーリッヒ・クライバーの「ばらの騎士」で元帥夫人をやっていた。さすがにアリアは充分な迫力。他の歌手も概ね満足の行く出来で、久々のフィガロということもあり楽しめた。ただし、あともう少しで私の好きな部分(フィガロが伯爵夫人になりすましたスザンナにわざと求愛するシーン)(最終幕の途中)の直前で原盤消失によりフェイドアウト・・・・これは生殺しだ。