グリーン・フーズ(1987)

山岸凉子
「パエトーン」(1988)収録
先日書いた「グリーン・フーズ」を読みたくて、ア○ゾン・ユーズドで購入。このコミックスに収録されている作品の中で「キメイラ」「パエトーン」は文庫に収録されているが、「グリーン・フーズ」「月の絹」は未だに未収録、今回勝手ながらその事情がわかった気がする。
たしかに「ピアノを弾く兄と歌を歌う妹」「妹が拒食症になる」というのはカーペンターズを思い起こさせる。しかし、山岸さんはけしてカーペンターズを描こうとしたのではなく、彼女お得意の「人間の負の部分をえぐる一連の作品」の一環として、モチーフを借りて書いたに過ぎないと思う。この兄がリチャードなら、あまりにリチャードがかわいそうだ。
カレンの拒食症についてのドキュメント"The Carpenters: The Untold Story" (1994)邦訳「カレン・カーペンター:栄光と悲劇の物語」は1995年だから、それ以前の作品である。しかし、(もしかしてだが)あまりにカーペンターズを思わせると本人が自粛したのか、それともカーペンターズのファンあたりから抗議でも来たのか、封印扱いになっているのかもしれない、と今回思った次第。