Royal Opera House: Vespertine Live 2001

Bjork
どうしてもビョークのライブ映像が見たかったが、かなりの種類が出ている。どれか一枚ということにして、CDとしても、またようつべで映像を見てみても一番気に入った"Vespertine"のライブを選択、もちろん、ジーナ・パーキンスの存在が大きい。
彼女自身の奏でるオルゴール、オーケストラによる序曲に続いて、CGで彼女がアンドロイドに扮するPVが印象的だった"Homogenic"の"All is Full Of Love"で幕を開ける。今思えば、この曲は"Homogenic"の曲でありながら"Vespertine"への序曲になっていたのだということがよくわかる。
編成はオーケストラ(オペラハウスだから、舞台と客席の間)プログラミング担当の"Matmos"というコンビが右、ジーナが左、中央にビョークが現地で集めて結成したというグリーンランドイヌイットの聖歌隊。前半が"Vespertine"から、後半が過去の曲だが、すべてこの編成(と"Vespertine"のコンセプト)に合わせてアレンジしなおされている。
ジーナはハープにアコーディオン、チェレスタ、曲によってはアコーディオンを弾きながらハープを弾いたりしている。ギターのボトルネックのような効果のために「何か」を弦にこすり付けているシーンもあった。初めて見たのがエレクトリック・ハープ、小さな逆三角形の木枠に弦が張ってあり、シンセサイザーかテルミンのような音を奏でていた。"Vespertine"のボーナストラックであり、唯一彼女が作曲に参加したハープとビョークのボーカルのみの"Generous Palmstroke"も披露されてうれしかった。(インタビュー映像によるとハープは独学なんだと!)
前半は深みのある落ち着いたステージで、後半はやはり過去の曲だけに盛り上がる。1stの"Human Behaviour"までやるとは思わなかった。相変わらず内臓が飛び出るんじゃないかというぐらいのビョークの歌いっぷりである。東洋的なハープのアルペジオの旋律が新鮮な"Pagan Poetry"に、イヌイットのプリミティプなコーラスが良く合う。全体として、まったく間然する所が無い出来。前にも書いたが、ピーター・ガブリエル以来だ。この感触は。
ちなみに、ハープで、弾いた直後に音程が変わる曲は残念ながら演奏されていなかったので、方法が確認できなかった。
さらにちなみに、ロイヤル・オペラ・ハウスとは「コヴェント・ガーデン」である。奇しくも私がマリア・カラスにぶっ飛んだ映像が1962年の「コヴェント・ガーデン」であった。40年の時を隔てた新旧ディーバの共演は感慨深い。