ピーター卿の事件簿

ドロシー・セイヤーズ
ミステリのクラシックを読み返そうとして、ホームズからルパンへ行こうとしたのだが、こちらが気になってしまった。クリスティと並び称されているドロシー・セイヤーズは、昔から名前はよく聞いていたが、ついぞ読んだ事が無い作家だった。それもそのはず、主要作品の訳出がここ10数年の間なのだ。それじゃ若い頃に読みようがない。さらに、この人のピーター卿シリーズは、途中から登場する女流推理作家との恋愛もからみ、最後の作品はめでたく結ばれた後の新婚旅行中の事件、と、クリスティの「トミーとタペンス」あたりが大好きな私には、まさにドツボのシリーズなのだった。(まだ読んでないけど)(余談だが、昨年「トミーとタペンス」が映画化されたそうだ。知らなかった)
というわけで、小手調べに第1短編集を読む。かなり、怪奇、異常、あるいはトリッキーな事件が多くその分読み応えはあるが、読者が探偵と一緒になって謎解きをするという楽しみには若干欠ける気がする。しかし、短編集のせいもあろう。この後は(メロドラマの完結にむけて)第1長編から読むことにする。ちなみにこの短編集は日本の独自編集で作品の発表年代に隔たりがあり、ヒロインのハリエットの初めての出産後のシーンから始まる作品がある。二人の出会いをのシーンを楽しみにしていたのに、いきなり出産かい!