七瀬ふたたび(ドラマ)(1979)

筒井康隆のいわゆる「七瀬3部作」というのは、この作者にしてはたぶん唯一の同一主人公のシリーズでありながら、作風がまったく違うという一種異形のシリーズである。普通ならこれだけキャラが立っていれば、同じような作風で延々と続ける事も可能であったはずなのに、それをやらなかったところがまた筒井さんのすごいところである。というか、そういうのを筒井さんが一番嫌う事も確か。第3部で、読者の期待を見事に裏切ったところからもわかるように、本人は七瀬主役の「家族八景」の続編は(出版社の要請があったらしく)いやいや書いたらしい。(政府機関に狙われるというのも、終わらせるための無理やりな設定に思えてくる)「時をかける少女」もそうだが、一般的に人気のある筒井作品は、実は筒井色が意識的に薄められている作品であるというのも皮肉な話。
で、奥さんがケーブルテレビで多岐川由美主演の第2部のドラマ化を途中から見てはまり、見てない部分が気になるというのでオークションでビデオを落札してまで見ていた。そして、見終わってから私から原作を借りて読んでいる。逆である。
実は私はこのドラマ版は、全く記憶に無い。時期的にバンド活動真っ盛りの頃なので、NHKのドラマなど見向きもしない頃だったのだろう。これを機会にドラマも見て、原作も読み返してみようかな。そういえば知らなかったが「はるか17」の人がマンガ化しているとか。気になるではないか!
ちなみにネット上では原作(1976)について「古さを感じさせない!」等と若い人がよく書いているのだが、明治や戦前ではあるまいし、どれだけ大昔だと思っているのだろうと苦笑してしまう。たぶん生まれる前の作品だからなのだろうな。