J.シュトラウス2世 喜歌劇「こうもり」(1980)

テオドール・グシュルバウアー指揮
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
ルチア・ポップ ベルント・ヴァイクル エディタ・グルベローヴァ エーリッヒ・クンツ ブリギッテ・ファスベンダー ヨーゼフ・ホプファーヴィーザー ワルター・ベリー
ドイツ語圏毎年恒例の大晦日のお楽しみ「こうもり」であるが、以前クライバーの名に引かれて1986年のバイエルン国立劇場のLDを買った。クライバーは楽しめたのだが、このオペレッタ自体にはぴんと来なかったというのが正直なところ。ところが、上記のような豪華メンバーでDVDが出ているではないか!ポップファンに買うなというほうが無理である。2005年に発売されているが、記憶が正しければ、ビデオ、LD時代にはこのソフトは無かったはずだ。解説によるとオーストリアのTV放送映像とのことで、あのベームの1980年フィガロと似た事情かも知れない。となると、オーストリアにこの映像のソフト化を20年以上待っていた人がいたかも知れない、ベームの時の私のように。
いちいち説明も不要な豪華メンバーだが、懐かしい人が二人。
ベリーは、25歳の時フルトヴェングラーの「ドン・ジョヴァンニ」でマゼットを演じ、その後の有名なバスの役どころを席捲した名歌手である。2000年亡くなったらしいがこのDVD当時は51歳だからまだまだ元気である。
クンツはさらに往年の芸達者な名歌手。やはりフルトヴェングラーの「フィガロ」のフィガロ「魔笛」のパパゲーノが懐かしい。DVD当時71歳!さらに元気だ。1995年没。
歌はもちろんだが、フォルクスオーパーでもあるまいし(って言い方も変だが)歌手が揃ってコメディアン並みに芝居がうまい。「こうもり」に関しては最初に接した映像を間違えたな。これが最初なら絶対「こうもり」を好きになっていたはずだ。(でも出てなかったんだから無理か)クライバー盤は「こうもり」を知っている人がクライバーを楽しむためのものだったのだ。演出のシェンクとファスベンダー、ヨーゼフ・ホプファーヴィーザーが共通する。他も水準以上の歌手なのだが、上記に比べるとどうしても見劣りするし、演技も通常のオペラレベル。上記がすごすぎるんだが。勿論、クライバーはすごいけどね。あと気づいたのが、字幕の省略が多くてセリフの面白みが伝わっていなかったということ(DVDでは改善されているのか?)