ブルックナー 交響曲第7番

朝比奈隆指揮 大阪・フィルハーモニー管弦楽団(1975)
3大ブル7の最後をかざるのがいわゆる聖フローリアンのブル7である。アナログ時代から折に触れ聴いてきた、まさに私には愛聴盤である。確かに音楽以外の付随物が大変多い録音である事は確かであるが(下記)そういうことを抜きにしても、また当時の大フィルのテクニックに多少問題はあるにしても、純粋に情熱と癒しのブル7として、私はやはりここに帰ってくるのだ。第1楽章77小節からオーボエとクラリネットが浮かび上がってくるところは私の好きな部分の一つだが、ここがまるで別世界からのように響いてくるのはこの朝比奈盤だけである。

大フィル初のヨーロッパツァーの合間に、ブルックナーが長年教会オルガニストとしてオルガンを弾き、その遺体が地下に安置されている聖フローリアン教会での演奏。始まりの時間がやや押して、3楽章をはじめようとした瞬間に、教会の鐘が鳴り出すという偶然(と言いたくないが)も重なり、神がかったかのような演奏になっている。この時偶然にノヴァークが来ており、演奏後朝比奈がノヴァーク版ではなくハース版を使用したことを詫びたが、「このような名演の前では版の問題は関係ない」と握手を求められたという。