風の陣 【立志篇】(1995)

高橋克彦
前にも書いたが改めて順々に読んでいる。一般的な日本史から計り知れない、この時代(奈良時代末期)の中央政権と蝦夷の関係に、目から鱗がおちる。しかし、うんざりするのはこの時代の政争の醜さである。もちろんそれに蝦夷をからめるのが高橋さんの狙いなのだが。この巻の「橘奈良麻呂の乱」の勝者、藤原仲麻呂(後の恵美押勝)も結局は、孝謙(称徳)が道鏡に寵を移した為に「恵美押勝の乱」で滅ぼされる。(【大望篇】)そしてその道鏡も称徳没後は追われてしまう。栄枯盛衰というか、因果応報というか・・・・これだけ歴史が物語っているのだから、人類ももう少し勉強してもいいんじゃないか。
その後、天智系の光仁が天武系を妻に迎える事で即位するも、その妻と皇太子である息子も謀反の疑いで幽閉後変死、どう考えても陰謀だな。そして光仁は別の妻との子供を皇太子にするわけだがこれが桓武である。こうして天武系が途絶え、天智系が返り咲いた形で時代は平安時代へ向かう。風の陣は「天命篇」が和気王の乱と、かの和気清麻呂を巻き込んだ道鏡との対決、今度出た「風雲篇」が称徳が病に臥したところから始まるようなので、上記の道鏡が追われることろまでか。また「烈心篇」が現在連載中だが、調べたら「烈心篇」は正に鮮麻呂の話で多分「火怨」直前までを描いて一段落と見た。