ふたりのロッテ

エーリッヒ・ケストナー
この物語は、1991〜92年にアニメ化されており、私は途中の2,3話を見た記憶がある。しかし、原作が文庫で見つからない時点で、当時はそれ以上調べるという発想がなぜか無かったので、気になりながらもずーっとそのままであった。で先日の件(こちら)もあり、やっと読むことができた。
双子が入れ替わるというスリリングな展開もさることながら、子供に人気のある話の要因のひとつには、「大人だって成長段階にあり、子供の力でそれを促進してあげることができる」という、現実には親の庇護無しには生きられない子供に対する夢を与えている点にあるのではないか。しかし、「大人だって成長段階にある」というのは真実であり、子供に対する思い上がりに対しての戒めとして、大人が読む価値は充分にある。といっためんどくさい事を抜きに、この手の話は大好物なのだが。
双子と言えば、萩尾望都も初期には双子のモチーフをよく用いたもので、「セーラ・ヒルの聖夜」(1971)等が懐かしく思い出される。