サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ(1972)

ジョン&ヨーコ プラスティック・オノ・バンド ウィズ エレファンツ・メモリー
アナログ時代から、このアルバムは聴いた事が無かった。2枚組ということもあったし、やはり、「ジョンの魂」や「イマジン」よりは「聴きたい!」と言う気持ちが弱かったのだ。
しかし、フランク・ザッパにはまってからは、そういえばこのアルバムのライブの部分は、バックがフィルモア・イースト・ライブ時のザッパ&マザーズだったっけ!と言うことで、聴かねばと思っていたのだが、買おうと思った時には入手不可だったりして、タイミングが合わなかった。今回、先日衛星に入ったジョンの映像を見て、これを機会に、と思い立ち紙ジャケで出ていたものを購入。調べたら、しばらく出回っていた1枚CDのバージョンは、もとの2枚組LPより曲が減らされていたようで、やはり今買ったのが正解だったようだ。
で、もちろんライブのDISK2を聴く。
最初の2曲「コールド・ターキー」「ドント・ウォリー・キョーコ」はドラムス、アラン・ホワイト、ジム・ゴードン、パーカッションになんとキース・ムーン、ベースにクラウス・ブーアマンのリズムセクションに、ギターがジョン、ジョージ、クラプトン他総勢5人、キーボードにビリー・プレストンとオーヴァーダブでニッキー・ホプキンス、そしてサックスにトランペットという名前だけ見てもとんでもない編成、しかもモノラルである。しかしこのモノラルが実にいい。プロデュースにフィル・スペクターの名も見えるが、ある意味ライブで実現したウォール・サウンド。
リフ+フリーフォームとも言える「ドント・ウォリー・キョーコ」はこの歳になってやっと面白いと思えるようになった。エレクトリック・マイルス並みに面白い。
さて、マザーズとの共演だが、よりジャージーかつテクニカルになってはいるが、基本ラインは変わらないといえる。当時のジョンとヨーコの前衛性がザッパと全くと言っていいほど違和感が無く調和しているのが、ある意味驚きでもある。しかし、ジョンが歌いザッパがリードを取るブルースがあるが、とんでもなくすごいことだなこれは。
しかし!
聞く所によると、ザッパは"Some time in new york city"のジョンのミックスが気に食わず、後年独自のミックスで、"Playground Psychotics"(1992)を発売したという。うーんザッパはかなり把握していたつもりだったが、これは漏れていた。ネット上の評判は、概してジョンのファンは"Some time in〜"を、ザッパのファンは"Playground〜"を推しているようだ。やはり両方聴かねばならんでは無いかっ!