ルーシーの約束

モンゴメリ
ニュー・モンゴメリ・ブックスの1冊。「赤毛のアン」発表前から「アンの幸福」発表前あたりに雑誌で発表された短編をまとめたもの。(1899〜1935)
「エミリーの夫」では、多少わがままに育った娘が、嫁ぎ先の姑と折り合いが悪く、夫への愛情も冷めたと思い、家を出てから数年後、その夫が危篤との知らせを受け、夫への愛情が蘇るという作品だが、これはあきらかに「アンの愛情」へ流用されている。
また、登場人物の性格は全く違うが「同情が恋の始まり」は「アンの友達」の「隔離された家」を思い起こさせる。
以前にも書いたが、こういう発見でにんまりする楽しみが、このシリーズにはある。
他にも、ユーモラスなスピード感が「アンの友達」の「オリビア叔母さんの求婚者」を思わせる「求婚レース」やロマンチシズムの極地の「ある恋物語の結末」、「アンの夢の家」のジム船長を思わせる「エイブルの冒険」等、なかなか楽しませてくれる。
そんな中1932年の「花嫁が待っている」はさすがに後年の作品だけあって、憎らしいほどうまい展開だ。