シューマン 交響曲全集 マーラー編

シャイー指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2007)
前にも書いたが、シューマンという人は昔からオーケストレーションに問題があると言われていた。近年は、それこそがシューマンの個性であるという意見も強い。
もともとは著名な指揮者であったマーラーが、シューマンの交響曲を自身で編曲したバージョンで演奏していた事は知っていて、いつかは聴いてみたいとは思っていたが、実際にCDとして発売されているとはしらなかった。
基本的にマーラーが自分流のオーケストレーションをほどこした、というのではなく、シューマンのオーケストレーションの特徴である、とにかく何でも弦と管をかさねる等の手法がゆえに沈み込んでしまっているフレーズを、しっかり浮かび上がらせるための(楽器の移動も含めて)交通整理といった趣き。
ピアノ曲等を聴けばわかるとおり、シューマンは天性のメロディ・メーカーである。後年の指揮者たちは、その天才性が交響曲ではオーケストレーションがゆえに今一前面に出てきていないと考えたのも無理は無いし、マーラーに限らず、ある程度の編曲をして指揮をしていたようである。あくまでシューマンを大衆に理解してもらいたいがゆえの真摯な姿勢だと理解したい。
しかし、このレコード、CD時代にさんざん元のオーケストレーションを聴いた後にこのマーラー編を聴くと、大変見通しが良くなってはいるが、スカスカした感じがするのも事実。やはり、あのオーケストレーションもシューマンを構成する大事な一部である、という事を改めて認識する。勿論、こういうものだとして聴く分には大変いいし、部分部分では「なかなかやるな」と思える場所もある。しかし・・・・悪く言えばシューマンが「普通」になってしまった感は否めない。
ちなみにゲヴァントハウスは、第1、第2バイオリンを左右に配置する古いオーケストラ配置法で、これは大変効果的であった。