マーラー 交響曲「大地の歌」

シューリヒト指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1939.10.5)
これはいずれ買うつもりで未聴なのであるが、聴く前にちょっと書いておきたい。
演奏以外にいろいろと話題になっている盤である。
結論から言うと、最終楽章に女性から""Deutschland uber alles, Herr Schuricht?"という野次が入るというのだが、それが何を意味するかが諸説あるらしい。
意味合いは「世界に冠たるドイツ(でしょう?)シューリヒトさん?」といった感じのようだ。
1.ユダヤ人作曲家を取り上げることに対するドイツ人またはナチ・シンパのオランダ人による抗議。
2.当日指揮するはずだったメンゲルベルクを降ろしたことに対するオランダ人のドイツに対する抗議。
3.ドイツ人(=当時のオランダ人にとってナチ)指揮者なのにユダヤ人作曲家を指揮するシューリヒトに対するオランダ人の揶揄。
さて、どれが正しいのだろう、気になって調べてみた。
あるサイトで「当時はオランダはナチ占領下で云々」とあったが、ナチによるオランダ占領は1940年なのでこれはあてはまらない。そもそもナチ占領下ならマーラーを演奏できるはずもない。なので、1.は首を傾げざるを得ない。
また、海外サイトで調べたら、この日のコンサートは確かにメンゲルベルクが「大地の歌」を指揮する予定だったが、病気療養中のスイスから戻るめどがつかず、コンセルトヘボウ・サイドが、ハーグ・フィル(シューリヒトがブル7の名録音を残している)に客演するためにオランダに来ていたシューリヒトに急遽白羽の矢を立てたらしい。
となると2.も成り立たない。
また、そのサイトによると、シューリヒトが代演される事が発表された後、オランダの新聞等では、シューリヒトの実力は承知しているが、ユダヤ人作曲家の曲の指揮を(本国では演奏が禁じられている)ドイツ人指揮者に頼むのはいかがなものか、といった意見が出されたらしい。
となると必然的に3.が正しいことになる。
そうすると、先ほどの野次は「(あなた)世界に冠たる(ご立派な)ドイツ(の指揮者なんでしょう?それなのに、よくもまあ平気な顔でマーラーを指揮できるわね!)シューリヒトさん?」となるのか。
ちなみに、演奏は極上だったらしく、シューリヒトはそのまま11月頭までコンセルトヘボウを指揮しつづけた。「大地の歌」は都合4回振っている。音楽の力には世間の雑音もかなわなかったのだ、ということか。(そのかわりハーグ・フィルは全面キャンセルされた模様・・・)
っていうか、こういうことは演奏を聴いてから書きなさいって(自爆)