フェネラ(1977)

花郁悠紀子
「ゆうれい談」をはじめとする山岸凉子の心霊実話シリーズの中に「蓮の糸」という作品がある。
その中に才能を惜しまれつつ26歳で夭折した漫画家花郁悠紀子が、亡くなった後に山岸凉子の部屋に夜中に現れる、というエピソードがある。
それを読んで以来、花郁悠紀子は気になる漫画家であったが、今まで1作品も読んだことがなかった。
それが、先日の一条ゆかりを入手した、古本屋のカバーなし10円ワゴンにあったのだ!なんという幸運。
調べると彼女のコミックスの第1作で、やはり初版である。貴重だ。
さて、予備知識なしに読んで見ると、萩尾望都を思わせる骨太のSF・ファンタジーで、若干詰め込みすぎの感はあるが、その分読み応え充分。エンディングがやや弱いし、謎が残るのもどうかと思うが若書きの勢いがそれを凌駕している。
で、調べたらおモー様のアシスタント出身とか。なーるほど!
これは他の作品もぜひ読みたいものだ。
続編を期待させる内容だったが、正式な続編は無く、主要キャラが後年の作品の脇役で出ているようだ。
ちなみに彼女の実妹が、「フレドリック・ブラウンは二度死ぬ」(こちら)で、「ミミズ天使」(わーい)を漫画化した波津彬子