ガット弦 ピリオド演奏

ネット情報によると、アーノンクールがブル5を録音する際に、なんとクナの改訂版演奏(1956)を参考にし、コントラバス、チェロがガット弦である素晴らしさを語ったという。
当時のウィーン・フィルの弦楽器がガット弦を使用していたかどうかは不明だが、ガット弦(たぶん本来のガット弦ではなくスティール巻線)からスティール弦(またはナイロンのスティール巻線)への移行は、世界的に1950年代後半を境にして行われたらしいので、ありえる話である。
こういう話を聴くと、例えば同じ曲をいろいろな指揮者で聴き比べたとき、70年代以降の演奏をいろいろ聴いた後に、フルトヴェングラークナッパーツブッシュ、シューリヒト等を聴くと、なんか世界が違って聴こえるのは、(勿論指揮者の素晴らしさもあるのだけれど)弦楽器の弦の違いもあるのかも、と思ってしまう。例えば1944年のフルトヴェングラーのブル8は、アッチェレランドがきつすぎるという不満はあっても、ウィーン・フィルの極上の音世界には、すなおにうっとりしてしまうのだ。

こうなってくると、最近一部で話題の「ブルックナーのピリオド演奏」というのも、なるほどなと思えてくる。
最初は、ピリオド演奏といえば、バロック、古典派のものであり、いいかげん現代に近い「後期ロマン派」の頃のブルックナーに、ピリオド演奏などあるのか、と思っていたのだが、弦の材質を考えれば、充分に価値はある。
また、奏法や、演奏人数も、当時とは微妙に違うらしいので、ちょっと確認したいところ。