ある音楽評論家の呪縛

いろいろなところで言われているようだが、1970年代あたりから、ある評論家から絶大なる影響を与えられたクラシックファンが多かったはずだ。
素晴らしい評論家である事は間違いないのだろうが、決め付けに近い一種小気味の良い切り口は、ある意味で「呪縛」に近い影響があったはずだ。
かく言う私も、ちょうどクラシック聴き始めの頃にこの方の文章に出会ってしまったので、かなりの影響は受けた事は否定できない。
しかし、すべて盲目的に鵜呑みにするということはすぐにしなくなったはずで、例えば彼がクナと並んでシューリヒトのブル8を2大名盤とする意見にも、当時の私はシューリヒトは認めなかったので「あ、やはり意見の違いはあるのだ」と思ったものだった。
(最近彼がティントナーをけなしているらしいという情報があり、意見の違いは決定的)
なので、彼の意見は意見として客観的に判断しているつもりだったのだが、やはり呪縛は残っていたようで、フルトヴェングラーブルックナーを先入観を持って聴いていたような気がする。
しかし(面白いもので)シューリヒトのブル8が悪くないなと思い始めたら、それに伴ってフルトヴェングラーのブル8も悪くないなと思い始めてしまったのだった。
先入観というのは恐ろしいものだ。
2005年9月9日(こちら)にコメントくださった orooro様には、この場を借りてお詫びしたいと思う。