ブルックナー 交響曲第8番

クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1963)改訂版
常にブル8のベストとして推してきた演奏であるが、デジタル・リマスター盤を購入後約10年、聴くたびに「あれ?こうだったかなあ?なんか違うなあ」と今ひとつ感動できなかったという事を、今ここでカミングアウトする。
どうも、音がクリアになった分、ミュンヘン・フィルの弦の音程の不揃いな部分が前面に出てきてしまって、クナの素晴らしさを堪能しきれないような気がする。
記憶によれば、アナログ盤はそんなことは無かったはずだし、古いCD(私が所有しているのは1989年発売)も音が悪い(アナログよりは良いのだが)分気にならなかった。
古いCDは多分再発されないだろうから、モノラルながらも1963年のライブ(こちら)を推した方がいいような気もする。
フルトヴェングラーのようにLP起こしのCDも計画されないだろうし。
初めてクナのブル8を聴く人は、現在のデジタル・リマスター盤を聴くわけだから、もしかしたら、あまり良い演奏とは思わないのかもしれないなあ。なんか寂しい。
私の中では常識としてこの演奏は名演なのだが、ネット上では賛否両論で、もしかしたら褒めている人は私のようにアナログ盤や古いCDの記憶で褒め、けなす人はデジタル・リマスター盤を聴いてけなしているのかもしれない。
そういえばクナのブル8を「これはブルックナーでは無い」と大見得を切った人が、ブル9(18種類聴いたそうだが)を「嫌いだ。ちっともおもしろくない」と評しているのには笑ってしまった。ブル9を理解していない人が、どこをどう理解してクナのブル8をブルックナーでないと判断したのだろう?
PS.私は基本的にヘッドホンでCDを聴く(音が洩れるようなアパート暮らしが長かったのと、ベース等の音取りのため、そういう習慣がついてしまった)ので、もしかしたら、スピーカーで聴いたら、上記のような事は無いのかもしれない。