ブルックナー 交響曲第6番

チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(1991)
以前はほとんど持っていなかったブル6であるが、いつのまにか随分増えた。「全集」やら「選集」を買えば必然的についてくる、といった消極的な集まり方ではあるが(笑)
そして、この曲の性格上(優美だが若干深みに欠ける)どの指揮者もそれなりにいい仕上がりである。チェリビダッケも前回「ロマンティックで一段落」と書いたように、このブル6は、まあそれなりにいい出来だろうといった気持ちでいた。
ところが、それはとんでもない思い違いだった。チェリビダッケは強い問題意識を持ったアグレッシブな演奏によって、この曲が実は危ういバランスの上に成り立っている事を抉り出し、他のブルックナーと比べても遜色の無い魅力に満ちていることを知らしめてくれた。
この演奏を聴くと、他の指揮者は曲の優美さの上にあぐらをかいているのでは、等と思ってしまう。(インバルはかなり切り込みが激しかったが)
ブル6というのは、クナもシューリヒトもマタチッチも演奏を残さなかったので、どうしても積極的に聴こうという気にならなかったというのが正直な話だったが、チェリビダッケのおかげで、これからは変わってくるだろう。