バイセンテニアル・マン(1976)

アイザック・アシモフ「聖者の行進」に収録。
最近アシモフの長編をあらかた読み直した後、短編集もあらかた読み直している。
長編や短編に比して、中編作品というのはなかなか評価がされづらい。ヒューゴー賞ネビュラ賞の中編部門の歴代の受賞作を見ても、我々に馴染みがある作品は数えるほどしかない。
そんな中、1976年にネビュラ賞中編部門を受賞したこの作品は、センチメンタリズムであろうが、ベタであろうが、やはり古今東西のベスト中編にあげたい。他の有名中編がほとんどが長編化もしくは長編の一部に組み込まれているのに比して、やはり(シルヴァーバーグによる冗長な長編化は無視して)中編ならではの無駄の無い淡々としたスピーディーな展開が、逆に叙情性を高めている傑作中編SFであると思う。