半七捕物帳 第3巻(春陽文庫版)

岡本綺堂
半七が語り手といいながら、主人公が半七でない話もけっこうある。
そういう話に限って、けっこう重層構造の読み応えのある話だったりする。
事情は知らないが、もしかして半七以外の話を、後年半七の聞き書きという形でシリーズに組み込んだのかしら?などと思ったりする。
隠密の話「旅絵師」もそんな作品のひとつで、このまま引き伸ばして映画にしてもいいくらい深みのあるよくできた話で、ひきずる読後感も秀逸である。