Toscanini Conducts Wagner

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団(1954.4.4)
ローエングリン」第1幕への前奏曲
ジークフリート」森のささやき
「神々のたそがれ」夜明けとジークフリートのラインへの旅
タンホイザー」序曲とヴェヌスブルクの音楽
ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
というわけで、トスカニーニワーグナーを買ってしまう。
お目当ての「トリスタンとイゾルデ」は無いが、実はこのCDは大変な意味がある。
トスカニーニの数少ないステレオ録音であり、かつ生涯最後の演奏会である。
タンホイザー」で記憶障害を起こし指揮をやめてしまい、ラジオ生放送では異常を察知したスタッフが、急遽アナウンスを入れて録音済みのブラームスの交響曲第1番を流した。
その後トスカニーニは回復し、なんとか演奏会は最後まで続いた。放送は「マイスタージンガー」から正常放送に戻った。
実は、リハーサルの時から記憶障害の気が見られたため、代役の指揮者を用意しての生放送コンサートであった。
そして、この直後トスカニーニは引退を表明する。
しかし、実際聴いてみると、確かに後半縦の線がずれてくる場面があるが、言われなければ普通に聴けるレベルで、さすがに日頃のリハの賜物というべきか、NBC響の底力というか。
ちなみに、この時の放送そのまま(アナウンスが入りブラームスが流れる)もCD化されているが、自主制作盤レーベルの限定発売との事で現在入手不可状態。
演奏については、前に書いたとおり、私にとっては新鮮に感じられるワーグナーである。クナよりこっちを先に聴いたほうが早くワーグナーに親しんだかもしれない。