ヤノヴィッツの「フィガロの結婚」伯爵夫人

私は(勿論好みなのだが)「フィガロの結婚」の伯爵夫人、特にアリア(第19曲)「あの楽しい思い出はどこに」は、古今東西ヤノヴィッツを凌駕する人はいないと今でも思っている。
なので、できればようつべ等を貼り付けたいと常々思っていたのだが、現在ショルティ指揮の映像しか無く、これは実は貼り付けたくない。これにはちょっとわけがある。
何回か書いているが、私が初めて「フィガロの結婚」の映像を見たのは、1980年ベーム指揮のウィーン国立歌劇場日本公演のNHK映像だった。詳しいことは「カテゴリー:1980年ベームのフィガロ」で見ていただくとして、この時、ヤノヴィッツとポップに一目ぼれ(一聴きぼれ)に近い感情を持った(勿論ソプラノとして)
なので、LDでオペラを集め始めたとき(1990年代)フィガロは何にしようかとなって、ショルティは嫌いだがヤノヴィッツとポップが共通する1980年のショルティ盤を買った。
そしてアリア「あの楽しい思い出はどこに」を楽しみにしていたのだが、実際に映像を見てちょっとびっくりした。ヤノヴィッツが高音を歌う時、若干歯がむき出しになるのだ(笑)
その頃、ベーム盤の記憶も怪しくなってきていたから、あれ〜ヤノヴィッツってこうだったけ?もっときれいに(って失礼だが)歌ってたような気がするのになあ・・・・と思いつつも、当時はベーム盤の映像を確認する手段も無く、なんか納得がいかないままずっと来ていたのだ。
そして2007年!(長かった・・・)奇跡のようにベーム盤のDVDが出た!狂喜乱舞しながらも、収録がショルティ盤の直後ということで、心の片隅で「ヤノヴィッツはこっちでも歯をむき出しているんだろうか・・・」と心配していたのも事実。
そして、その部分を恐る恐る見てみると・・・見事に歯はむき出していないのだった!(パチパチパチ)私の記憶は正しかった!大変美しい表情で終始歌いきっていたのをアップでとらえていた。
以前、冗談ではあるがポップがクライバーの「ばらの騎士」の自分を見てショックを受け、ダイエットしたんじゃないのか?等と書いたが、もしかしたらヤノヴィッツショルティ盤の自分の映像を見てショックを受けて、急遽口のあけ方を変えたのかもしれない(本当か?(笑))
というわけなので、私が思う世界最高の「あの楽しい思い出はどこに」は今のところ紹介できません。
しかし、映像無しなら1968年のベーム盤がある。この盤はスザンナがマティス、伯爵がフィッシャー=ディースカウなのが個人的にはアウトだが、標準盤として万人にお勧めできる。