鷲 (光文社文庫)

岡本綺堂
「白髪鬼」から漏れた「近代異妖篇」や、「異妖新篇」「怪獣」等から編まれた光文社の綺堂怪談の第3弾である。
小学館文庫の「岡本綺堂 怪談選集」とは「兜」「鰻に呪われた男」「くろん坊」が重複する。
大正から昭和初期の作品ということで、時節柄舞台に満州、シンガポール、フィリピンが登場するのも興味深い。特に満州満州版「雪女」である。
特に印象に残ったのは、嫁入り先の家の代々の呪いを、自らの命をもって断ち切った女性の、すさまじくも切ない話。
さて、綺堂の怪談はユーズドや古本屋で集めたが、気がついてみると先日の「影を踏まれた女」や「白髪鬼」と合わせると、光文社文庫の3冊を買っておけば、小学館文庫の「岡本綺堂 怪談選集」に収録された作品は全て網羅できていたのだった(笑)