海底軍艦(1963)

待ちに待った、デアゴスティーニ東宝特撮シリーズである。子供時代テレビ放映を何回か見ているが、ムウ帝国皇帝(小林哲子)が敗北を悟り、爆発炎上し、沈み行くムウ帝国と運命を共にするために、自ら海へ身を投げて、泳いでゆくラストシーンが印象的だった。
改めて見てみると、現代の目からは突っ込みどころは多いけれども、当時の特撮や骨太のドラマは見ごたえがある。思えば、この作品を最後に、東宝特撮は(言い方は悪いが)「日本沈没」まで怪獣プロレス一色になってしまうのだった。
また、原作の設定を当時の時代に移したことにより、結果的に「双方共に」「いったん滅んだ」ムウ帝国と旧日本軍の亡霊、怨念同士の対決という図式なったのも興味深い。いや、上記のようなムウ帝国皇帝の行動を見ると、ムウ帝国も実は日本である。そういう意味では終戦後20年を経た、ある種の鎮魂歌的な意味合いもあるのかもしれない。
しかし、轟天号の出動を拒み「世界は変わったんだ」と元の上官に説得され「あなたは戦争キ〇ガイ」と罵倒される神宮司大佐や、ムウ帝国側に気持ちが入ってしまうのは私だけだろうか。
ほいほいと戦後の世界の価値観に同調しちゃっていいのかい?と、神宮司大佐に言ってみたくなる。
まあ、「あなたは戦争キ〇ガイ」と罵倒するのが高島忠夫だから、説得力がないことおびただしい。ということはこれは逆説か?
ちなみに、田崎潤といえば、個人的には真っ先にこの神宮司大佐が浮かんでくるほどのはまり役なのであるが、青森市出身とは知らなかった。