R・シュトラウス「ばらの騎士」

クレメンス・クラウス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1953)
マリア・ライニング(元帥夫人)
クルト・ベーメ(オックス男爵)
ヒルデ・ギューデン(ゾフィー
リーザ・デラ・カーザ(オクタヴィアン)
クラウスが名指揮者だとうことは方々で読んでいたが、実際に聴くのは今回が初めて。1944年盤が以前出ていたが、現在けっこう高値がついている。
こちらは1953年、死の前年のザルツブルク音楽祭ライブの放送用音源で、音はあまりよろしくない。
序曲のいきなりの大爆発に引き込まれる。早めのテンポの指揮者ということを聞いていたが、最晩年のせいか、思ったよりは速くない。しかし、カルロス・クライバーの天才性の先取りのようなみごとな躍動感とウィーン的な典雅さ、そしていい意味でのウィーン的野暮ったさが同居する、実に味わい深い演奏。先日のエーリッヒの1952年盤もすごかったが(こちら)こちらもすごい。
それに比して歌手陣が出来が悪い(と言うべきなのかどうか)
デラ・カーザはソプラノ色丸出しの絶叫歌唱でうるさいことおびただしい。それに比例して低音域があやしい。
彼女につられたのか、ライニングやベーメも声を張りすぎ、よく言えば乗っているのだろうが、悪く言えば演技過剰の歌い崩しが多い。