R・シュトラウス「ばらの騎士」

ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1968)
元帥夫人 レジーヌ・クレスパン
男爵 マンフレート・ユングヴィルト
オクタヴィアン イヴォンヌ・ミントン
ゾフィー ヘレン・ドナート
歌手 ルチアーノ・パヴァロッティ
ファニナル家家令 クルト・エクヴィルツ
宿屋の主人 アントン・デルモータ
ショルティの「ばらの騎士」は、クライバー盤で男爵を演じているユングヴィルトが、こっちのほうが出来がいいとの情報もあったが、全く食指が動かなかった。
しかし、上記のように、マタイの福音史家等、宗教音楽でひっぱりだこだったクルト・エクヴィルツ、そして、我が最愛のテノール、アントン・デルモータが端役ながらも歌っているとなると、もう我慢がならなくなって買ってしまった(笑)
さて、各楽器が実に良く聞こえる。どこかで読んだが、楽譜片手に聴くには最高の演奏であろう。しかし、だからといっていい演奏というわけではない。うきうきもわくわくもしてこない、ちっとも面白くない演奏だ(笑)
たまに思うのだけれど、ショルティという人は、オケの統率は天才的だが、オペラをよく指揮するにもかかわらず、歌心という音楽センスに欠けてるんじゃないだろうか。ここまで感動しないファイナル・トリオも珍しい。
それに比して歌手陣は予想以上に申し分ない。
クレスパンとドナートは初めて聴いたが、双方とも私が聴いた中では最上の元帥夫人、ゾフィーのひとりである。
ミントンもドホナーニ盤以上の出来。
ユングヴィルトは、クライバー盤がやはり衰えが出始めの頃なのだとわかった。すべての音域が若々しく朗々と出ている。過剰気味の演技は好みの分かれるところだろうが、ここまで見事だと文句のつけようが無い。ある意味究極の男爵だ。
歌手役のパヴァロッティは無敵の1960年代、ただただ唖然とするばかり。
他の役も、標準以上で驚異的に穴が無い。通常一つや二つの穴はあるのだが。
デルモータは宿屋の主人にしては品がありすぎるが、声が聴けて満足。
これで、指揮がショルティでなかったら・・・(笑)
クライバー親子の狭間期だからしょうがないといえばしょうがないのだが。