イシ-北米最後の野生インディアン

シオドーラ・クローバー
追々感想を書くと書いたが、何をどう書いても正しい感想を伝えられる自信が無い。
ただただ、一人でも多くの人にこの本を読んでもらいたい、それだけである。
内容や読んだ人の感想は、ネット上ではいろいろと書かれているので、そちらをご覧ください。
ル=グウィンの「所有せざる人々」を読み始めていながら、途中で「イシ」に切り替えた理由については、予告どおり書く。
物語は「所有せざる人々」であるオドー主義の惑星から、一人の物理学者が、我々の言うところの通常の価値観の惑星へやってくるところから始まる。
やってくる理由は違えども、まさに異文化人がたった一人、別の文化にやってくる・・・・なので、これはル=グウィン版「イシ」なのでは・・・・・そこまでいかなくても、母(と実質的には父)の著書から多大なインスピレーションを得ていることは、想像に難くない、と思ったのだった。
私は2006年に、ル=グウィンについていろいろ書いていたが、今読み返すと、知らなかったとは言えかなり赤面物である。
ゲドといい、SF作品の異文化同士の相互理解というテーマといい、彼女の父母のインディアン研究がそのルーツであることはもうまぎれようも無い事実であったのだ。欧米の価値観にとらわれない彼女のような作家が存在することは、人類にとってとんでもなく意義があることだと思う。