もののけ姫(1997)

この映画は思い出深いものがある。東京在住時に、LDが発売されてすぐ、秋葉原の石丸電気「ソフトワン」へ行き、同時発売のメイキングのビデオ3本セットと一緒に買って、嬉々として帰ってきたものだ。
(余談だが、この頃はソフト屋もLD、ビデオが主流だったが、21世紀になり、プレステ効果で、行くたびにLDのコーナーが縮小されてゆく、という歴史のひとコマに立ち会ったのだった)
さて、一昨年に引き続き(こちら)娘がまた「もののけ姫」を見たい、と言い出したので。今回はレンタルDVDをいっしょに見た。実は見るのは久々である
デジタル仕様のせいか、黒のコントラストが強く、LDから焼いたものより、全体に暗い印象をもった。
さて、宮崎アニメは「ナウシカ」が映画として「ラピュタ」がアニメとして傑作である(異論はあると思います)のに比して、「もののけ」は「映画」としても「アニメ」としても、さまざまな点で中途半端であり、欠点が目立つ作品だというのが、これまでの私の感想だった。
しかし、歳を経て(といっても、最初に見たのが既に40歳前なんだが(汗))いろいろ勉強したり、鍛えられてきて、改めてまた「もののけ」を見ると、「映画」「アニメ」としての欠点はあるものの「文化的作品」(他になんかいいジャンル分けはないか?)としては、傑作なんじゃないだろうか、と思うようになった。
「映画」や「アニメ」の性質上、やはり見終わった後のカタルシスというのは、どうしても傑作に求められる条件なのだが、「もののけ」には見事にそれが無い。なので、「映画」「アニメ」として傑作とは言いがたいのだが、それで話を終わらせることを躊躇させるものが、この作品にはあるのだ。
逆に言えば、「カタルシス」で傑作と思い込まされている作品もある中、あえてそれを使用しなかった作品だとも言える
つらつら思うに、「自然破壊は悪だ」とは簡単な理屈だが
「自然破壊をする人間も、「自然」が生み出し「自然」に進化したものではないか」
等と考えると、ことはけっこう難しい。
極論を言えば
「自然破壊をする人間を生み出した「自然」は破壊される運命にある・・・・」
という意見もあってしかるべきであろう。